手倉森監督インタビュー プレーの質、気持ち重視

 J1復帰を掲げる今季のV長崎が始動した。J2降格、監督交代、そして少なくなかった選手の入れ替わり…。取り巻く環境ががらりと変わる中、目標を達成できるかどうかは手倉森誠監督の手腕に懸かっている。新指揮官にチームづくりやキャンプの狙いを聞くと、プレーの「クオリティー」とともに「気持ち」の部分を重視する姿勢が垣間見えた。

 -監督として現場に戻るのは、2016年のリオ五輪以来。
 幸せだなと思っている。仙台、日本代表を率いて、今度は長崎にいる。それぞれチームをつくる段階から関わってきているが、もう長崎らしい色が見えている。選手たちも融合できているし、早く互いを知ろうという共通意識がそうさせているんだなと思う。始まるんだという実感が湧いてきた。

 -主力選手が他クラブへ移籍し、新しい選手が入ってきた。実際に指揮を執り始めて、感触は。
 こいつらがベストだと思っている。新加入の選手が、もともとのベースにエッセンスを加えていて、それが間違いない方向にいく手応えがすでにある。チーム全体のクオリティーは上がっている。選手たちが持ち味を発揮して、それが組織に組み込まれるような形を探したい。僕には4バックの原型があり、長崎には昨年までの3バックがある。システムはまだ分からないが、シーズンを戦う上で、柔軟性が大事になるのは間違いない。

 -ハワイキャンプを含めれば約1カ月の長期キャンプになる。得たいものは。
 勝つためのすべてがほしい。フィジカル期、戦術期、ゲーム期と分けて仕上げる。さらに同じ目標でやっている者同士が一緒に生活する意味は何かと考えると、家族になるという仲間意識を高めたい。自分も監督であるけど、一人の男として選手と付き合いたい。オフ・ザ・ピッチが大切になってくる。

 -キャンプ序盤から、テンポの速さをかなり意識したトレーニングをしている。
 フィジカル期でもただ走れればいいだけでなく、クオリティーの部分を求めている。今のサッカーはテンポアップしているが、テンポが備わっていないチームにテンポを上げろと言っても難しい話。しっかり対応できるようにというテーマでやっている。

 -監督が気持ちの部分を重視している理由は。
 仙台を指揮していたとき、必要とされ、応援してもらったら強いんだなと身を持って感じた(東日本大震災が発生した2011年に、J1で当時チーム最高の4位)。やる気が変わる。そういうチームにしなければいけない。姿勢、心理が変われば戦術も変わってくるということを、ぜひ選手たちに理解させたい。

引き締まった表情で指示を出す手倉森監督。キャンプでは、選手と意識的にコミュニケーションを取っている=西原町民陸上競技場

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