被災家庭にメリークリスマス~チャリティーサンタがやってきた

サンタクロースが被災家庭を訪問し、子どもたちの日頃の頑張りを誉めて激励。つらいことがあった1年の終わりに、最高の感動をプレゼントした。

2018年12月24日午後、広島トヨペットのイベントスペース「CLiP HIROSHIMA」に100人のサンタクロースが集った。彼らはNPO法人チャリティーサンタのボランティアサンタ。依頼のあった家庭を訪問し、子どもたちに夢や感動を与え、その際に受け取るチャリティーで、被災地や経済的に苦しい家庭の子どもたちを支援している。

活動には多くの企業の支援が寄せられる。拠点となるCLiP HIROSHIMAもその一つ

同法人は東日本大震災や熊本地震、九州北部豪雨などの際にも、被災地にサンタクロースを送ってきた。平成30年西日本豪雨のあった昨年は、クリスマス前に広島市安佐北区口田、安芸区矢野、三原市本郷など6カ所を訪問。クリスマスイブのこの日は、広島市安佐北区深川、熊野町の12家庭に夢を届けた。

出発前のセレモニーではクリスマスソングのミニライブ。サンタの気分は最高潮に
25のグループに分かれ、街へと繰り出すサンタたち

広島市安佐北区深川で床上浸水の被害に遭った増井さん宅では、7歳と3歳の兄弟がお出迎え。サンタの姿を見た瞬間は、2人とも驚きで身動きすらできなかったが、すぐに喜びが頂点に。プレゼントを受け取ると、飛び跳ねてはしゃいだ。子どもたちに絵本をプレゼントをした後、サンタがパパとママへのささやかなギフトを取り出し、子どもたちと一緒に「ありがとう」の言葉を添えて手渡した。

訪問前のサンタたち。竹内さん夫妻(右2人)は、広島県内各地の災害復旧でも汗を流した
増井さん宅では、弟の勇斗くんからサンタさんへプレゼントも
「素敵な思い出をプレゼントしてもらいました。子どもたちが大きくなったら、サンタさん役を一緒にできたら素敵だなぁと思います」と増井さん
深川地区では、10軒の被災家庭を訪問

サンタたちは、移動中や訪問の前後は「街頭サンタ」としても活動。商店街や駅前などで道行く人にお菓子を配り、チャリティーサンタ活動のPRも行った。すれ違う人に「メリークリスマス」と微笑みかけると、誰もが笑顔で「メリークリスマス」と返してくれる。街頭サンタを真似て、袋一杯のお菓子を配って歩くサンタ帽の若者たちも出現。幸せの連鎖が続く一夜だ。

本通商店街での活動午後9時。幸せ満面のサンタたちが次々とCLiP HIROSHIMAに帰ってくる。全サンタの帰着後の「振り返り式」で感動シェアが始まった。この夜に感じた個々の思いをグループごとに発表する。「忘れられないプレゼントをもらった」「みんなが幸せになれる」…参加したサンタたちの感動が伝わってきた。

出発時に全サンタが記した目標がボードに掲げられ、帰ってきた彼らを出迎えた
ともに活動したサンタたちの絆も深まった

同法人広島支部の佐藤亮太代表は「今年は豪雨災害があり、大変な思いをした子どもたちにもサンタとの思い出を届けたいと思っていました。例年以上のサンタを集める必要があり大変でしたが、一年の最後に素敵なプレゼントができたのではないかと思います。」と語る。

振り返り式での佐藤さん。「参加者の涙に、もらい泣きしそうでした」

チャリティーサンタの活動も被災地支援も、これからもずっと続いていく。同法人では活動の賛同者やボランティアスタッフを募集している。子どもたちの笑顔と感動のために…。今年のクリスマスに向けて「いまできること」があるかもしれない。

いまできること取材班
取材・文 堀行丈治(ぶるぼん企画室)
写真 廣瀬佑太(mahoLabo.)、堀行丈治

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