NHK福岡発地域ドラマ「福岡美人がゆく!」がクランクアップ

NHK福岡放送局は自局で制作する地域ドラマ「福岡美人がゆく!」を3月1日(午後7:30)に九州沖縄地方で放送する。平成のはじめに生まれ、間もなく30歳を迎える3人の「福岡女子」を描く。出演は奈緒、梅田彩佳、白石隼也、中澤裕子、福田愛依、バッドボーイズ・清人、図鑑・平山カンタロウ、宮崎美子、陣内孝則。

昨年12月8日にクランクインし、福岡市、太宰府市、春日市、筑紫野市、新宮町でロケを行い、12月27日に福岡市のレストランでクランクアップを迎えた。最終日の撮影は3人の主人公が未来に踏み出す場面であり、また過去からの思いがあふれ、心温まるシーンだ。その後の会見では出演者が10年以上前からの友達だったかのような雰囲気が感じられた。

【あらすじ】

福岡郊外で生まれ育った築子(奈緒)は高校を卒業後上京し、平成の終わりとともに30歳を迎える。が、かつてイメージしていた「30歳の自分」とはかけ離れた現状で、東京ライフにもだんだんと「疲れ」を感じるようになってきていた。
そんなある日、彼女の元に福岡で生花店を営む父・直三(陣内)が倒れたとの一報が入る。築子は母・総子(宮崎)の連絡を受け、慌てて地元に帰ってくる。
そこで高校時代の友人・山田(白石)と、親友だった穂波 (梅田)と思わぬ再会を果たす。結婚が決まった穂波、「女子」として生きることを決めた山田。実はそれぞれに個人的な問題を抱えていた。

【出演者コメント】

奈緒
「私が築子の29歳という年齢の葛藤を表現できるのか、最初は不安でした。でも年上の梅田さんと白石さんが優しく迎え入れてくれたことで、楽しく撮影することができました。そして、気心知れたスタッフさんたちとまたドラマを撮れたことが本当にうれしかったです(※)。本当にいろんなことがあって一言ではまとめられないのですが、今日最後の結婚式のシーンで、穂波がウエディングドレスを着て現れた時、本当にみんながうれしそうな顔をしていて、こんなに多幸感のあるラストはないなと思いながら撮影しました。とても楽しい現場だったなと思います」(※ 2018年夏に放送のNHK福岡局制作ドラマ「六本松愛し方改革」に出演。演出は本作と同じ安藤大佑)

梅田彩佳
「私自身、ドラマに出る経験がまだそこまで多くなくて、2人(奈緒、白石隼也)にいろんなことを教えてもらいながら今日のクランクアップを迎えることができました。温かいキャスト・スタッフの皆さんに囲まれてすごく幸せな撮影でした。放送日がとても楽しみです」

白石隼也
「この格好(女装)で終わるのは嫌なんですけど(笑)。僕自身も初めてこういう女装する役をやって、非常に難しかったです。脚本を読んだ時点で僕にはできないんじゃないかなって思ったぐらい。でもここで逃げちゃいけないと思って挑戦しました。迷うこともあったんですが、奈緒ちゃんがしっかりリアクションを返してくれたことで、山田をそこにいさせてくれたというか、そうやって役ができていったと思います。この3人はすごくいいバランスだったと思うし、スタッフさんにも恵まれて、またこのメンバーでやりたいなと思います。「2」を作るとか…ないとは思うんですけど(笑)。また何かやれたらいいなと思います」

清人(バッドボーイズ)
「今回のドラマはお三方がご尽力されていて、僕は実質2日ぐらいしか顔を出していないので、まだ感情が追い付いていません(笑)。お三方の感想が全てだと思います」

脚本は「劇団鹿殺し」の丸尾丸一郎氏。大阪府出身で作家・演出家・俳優として活躍。テレビドラマの脚本は「マジムリ学園」(18年/日本テレビ系)や「崖っぷちの淵子!」(18年/NHK)などを手掛ける。今回、福岡を描くことについて、「劇団での活動は大阪5年、東京で13年になります。今回は、『劇団鹿殺し』の座長・菜月チョビが飯塚出身で、彼女の経験談・アイデアを聞き脚本に反映させました。東京に来てからは劇団で貧乏生活をしていて、彼女の友達が福岡で充実した人生を送っているように彼女自身が見ているのを、僕もそばで見てきました。福岡から出ていった人と留まった人の対比を描きたかった」と脚本に込めた思いを告白した。

また、会見には大学生記者も参加。彼らからドラマのお薦めポイントを聞かれた丸尾氏は、「大人になると仕事付き合いだけの関係になって“友達”ができなくなる。今いる友達を大切に。人間関係を諦めないということが大切」と学生たちにアドバイスを送った。

演出は博多区出身の安藤大佑ディレクター。今回描きたかったことについて、「一言でいうと“福岡人マインド”。福岡人ならみんな分かるような。そこに平成最後ということを絡めました。福岡って美人が多いよね、と言いがちでよく聞くワードだと思うのですが、真剣に掘り下げたことってあまりないと思います。今回は“美人”でいられない3人を描きました」と述べ、「主人公は東京に出て帰って来ているからこそ、福岡を偏愛している人にちょっと違和感を覚えている。僕も福岡を大好きだからこそ、ちょっとずれた部分を描きたかった」と演出意図を明かした。

キャスティングについて制作統括の一坊寺剛チーフ・プロデューサーは、「福岡を愛するがゆえに福岡をディスってしまう。このマインドをきれいに演じられるのは、福岡出身で上京したばかりの奈緒さんと考えました。梅田さんは北九州ご出身で、AKB48時代も北九州弁で話したりしていました。(撮影時)29歳というベストの年齢でもあります。白石さんは、お化粧してもみんなが納得する美しさがあります。福岡人だからこそ好きであり嫌いであるという、微妙なニュアンスは演技指導でも伝わりきらないところがある。そこをうまく理解して表現していただける方にお願いしました」と出演者に信頼を寄せた。

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