警官問題集執筆料、京都府警の6人2団体に1千万円 兼業抵触か

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京都府警本部

 警察庁と17道府県警の警察官が、昇任試験の対策問題集を出版する民間企業の依頼を受け、問題や解答を執筆して現金を受け取っていたと西日本新聞が報じた問題で、京都府警では6個人・2団体に企業側から計約1千万円が支払われていた疑いのあることが15日、関係者への取材で分かった。中には偽名を用いて多額の現金を受領していた人物がいた可能性も浮上しており、府警が事実関係を調査している。地方公務員法(兼業の禁止)に抵触する疑いもあるが、府警によると、いずれも兼業許可の申請はなかった。

 この企業は「EDU-COM」(エデュコム、東京)で、警察の昇任試験の対策問題集を発行。西日本新聞が今月上旬、2010年からの7年間で計1億円以上が支払われていたと報じた。多くは警部以上の幹部職員で、執筆料は階級に応じた単価にページ数を掛け算出していたとしている。

 京都新聞は、EDU-COM社が作成したとみられる内部資料を入手。資料には、京都府警の6人と2団体が執筆し、498万2374円~8620円を受け取っていたとの記載があった。6人のうち5人は警視正1人、警視2人、警部2人(いずれも現在の階級)で、残る1人は府警に実在しない名前だった。2団体の名称は「近畿法規研究会」と「なでしこ研究会」。

 京都新聞は、府警に実在する5人を取材した。うち、約110万円を受け取ったと資料に記載されている警部は、警察庁出向時代、府警の前任者から引き継ぐ形で継続的に執筆し、銀行振込で受領していたことを認めた。「兼業に当たるのではないかと不安だった。許可をもらうべきだった」と話した。

 警視2人は執筆行為をおおむね認めつつ「内部調査を受けている立場で詳細は話せない」と回答し、警視正は「取材には応じられない」と答えた。残る警部も「何も話せない」と述べた。

 一方、内部資料には、府警に実在しない名前の人物が12年6月~15年1月、交通、生活安全、刑事、警備など幅広い分野の問題を約150回にわたり執筆し、京都では最高額の計約498万円を銀行振込で受け取っていたとの記載があった。企業側との関係を知られないよう、偽名が用いられていた可能性もある。

 EDU-COM社は京都新聞の取材に「何もお答えできない」とし、府警警務課は「関係者数人を調査中だが、中身についてはコメントできない」としている。

■公務員倫理の逸脱「癒着の構造」

 同志社大の真山達志教授(行政学)の話 兼業に該当するかどうかを判断するには、一回限りの執筆か、継続して行われていたかなどを見極める必要がある。受け取った金額が数百万円に上るようなケースは社会通念上、兼業に当たる。事前に組織の許可を得ていないというのは、公務員倫理の逸脱と言わざるを得ない。そもそも、昇任試験に関連して、民間企業が出版する問題集を警察官が作り、その警察官に報酬が渡るというのはまさに「癒着の構造」だ。個人を処分して解決できる問題ではない。