レギュラー候補と言われ7年目 ロッテ加藤が単独自主トレを行うワケ「1人の方が…」

自主トレに励むロッテ・加藤翔平【写真:(C)PLM】

例年は鈴木大地らと合同トレも、今年は浦和や幕張で単独トレ

 1月上旬、とある日のロッテ浦和球場。陽が昇りはじめた頃、まだ誰もいないグラウンドで加藤翔平外野手は1人黙々と練習に励んでいた。

 例年は、鈴木大地内野手や柿沼友哉捕手らと合同自主トレを行っていたが、今季は単独で自主トレを行うことにした。「大人数でやるメリット、デメリットどちらもあると思う。待っている時間であったり、移動する時間、そういう時間のロスとかも考えた結果、自分1人でやった方が効率的だと。今年は自分でやることも、色々と明確にあった」と、ロッテ浦和球場やZOZOマリンスタジアムを中心に1人で課題と向き合っている。

「浦和は選手がたくさんいますし、順番を待ったり、場所が空くのを待つのが嫌なので。人がいない時に、やりたいこと、やるべきことをしたいと思っています」。早朝の個人練習は「キャンプになると朝が早い。キャンプになってからいきなり朝早く動こうと思っても、絶対にできない。7時から始めて動ける体も作っていかないといけない」と言うように、キャンプに向けた準備の一貫でもあると言う。

 その早朝のグラウンドで取り組んでいたのは、短距離走や体幹トレーニングだ。

「長い距離を走るのも1年間戦うために必要なことだと思うんですけど、ランニングに関して言えば、走れる方だと思います。野球で走るのは、最長でもベース1周の100メートルちょっとじゃないですか。だったら、ベース1周、盗塁の2~30メートルというのを重点的にやった方がいいかなと」。この日は、短い距離をいかに速く走れるかをテーマに走り込んだ。

 また、「1年間しっかり結果を残す上で、体幹が弱ってくるとバッティングフォームも全ての面で崩れてしまう。たとえば、福浦さんとかも試合前、試合後に体幹トレーニングしているのを僕らも見ている。結果を残し続ける人がやっているものは、絶対に取り入れた方がいいと思う」という考えで、このオフは、例年以上に体幹トレーニングに取り組んでいるそうだ。

「最初の方はきつかった(体幹)メニューが、慣れもあるんでしょうけど、今はだいぶ楽になったというか、こなせるというか、そういう感じはあります。体重も減らそうと思っているので、体自体は変わってきているんじゃないかなと思っていましたし、周りの方にも体が変わったねと言っていただいた。多少は効果が出ているんじゃないですかね」

昨季はオープン戦で打率.474を記録も、シーズンは69試合で.231に終わる

 加藤と言えば、持っている能力は非常に高く、毎年のようにレギュラー候補に名前が挙がる。背番号を「65」から「10」に変更した昨季は、オープン戦で打率.474をマークする活躍ぶりで開幕スタメンの座をつかんだが、終わってみれば69試合に出場して打率.231に終わり、レギュラー奪取とはならなかった。

 昨季終盤には「いろんな引き出しを開けてみても、全て空っぽだったというか、何をやってもマッチしてくるものが全然なかった」と悔しさを滲ませていた。今オフは昨年の反省を踏まえ「いろんな選手の打撃フォームを、動作解析と並行して見たりしている」と、引き出しを充実させる作業に着手している。

 ただ、人それぞれ打席内の感覚は違う。「自分が絶対的に考えている、という打ち方があると思うので、そこは人から聞くのは参考になるとは思うんですけど、結局は自分で意識、感覚を身につけないといけない。参考にする部分は参考にして、しっかり1年間結果を残せるように、自分でいろんな引き出しを集めるような感じです」と説明した。

 毎年レギュラー候補に挙げられながら、今年でプロ7年目を迎える。「去年までも自分の中でしっかりと自主トレはやってきたつもりでいましたけど、去年よりも自分の中でやらなきゃいけないことがはっきりしている。1人でやっている分、そのメニューだけをできる。自分の中では、いい練習ができているんじゃないかなと思っています」。自主トレの充実ぶりが、その表情からもはっきりと伝わってくる。

「自分自身が一番のライバル。自分に負けたら結果が出ない。それを去年はすごく痛感した1年でした。他人どうこうよりも、自分がしっかりやるんだという気持ちを持ってやっています」。何かきっかけをつかめば、昨年の井上晴哉内野手のように大ブレークする可能性はあるはずだ。自分自身と向き合い自主トレに励む今年の加藤翔平選手はひと味違う。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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