寒暖差で血圧が急変動「ヒートショック」 暖房で温度差抑え予防を 浴室、トイレ気を付けて

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 20日は二十四節気の一つで、一年で最も寒い時季とされる「大寒」。この冬は平年より高い気温が続いているが、暖かい場所から急に寒い場所に移動した時などに起きる「ヒートショック」には注意が必要だ。

 熊本赤十字病院(熊本市東区)第二脳神経外科部長の長谷川秀医師によると、ヒートショックは急激な温度変化で血圧が急上昇し、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞を起こす。血圧が急に低下した場合は、脳貧血によるめまいで倒れることも。いずれの場合も、浴槽内で意識を失って溺れ、手当てが遅れて死亡する危険性がある。

 ヒートショックが起こりやすい場所は寒暖差が大きい浴室とトイレ。長谷川医師は「入浴の一連の動作や排せつ中は、血圧の変動が激しくなる」と指摘する。入浴では、寒い脱衣所で衣服を脱いだ時は毛細血管が収縮して血圧が上がり、逆に入浴で体が十分温まった後や浴槽から上がった時は血圧が下がる。

 特に注意が必要なのは高齢者や高血圧、糖尿病、不整脈などの持病がある人。脳卒中や心筋梗塞にかかったことがある人や、肥満の人も気を付けたい。

 熊本市消防局管内で2017年に発生した浴室内の心肺停止は91件。1~3、11、12月の寒い時期が64件と約7割を占め、9割近い79件は65歳以上だった。救急隊が現場に到着した時、既に死亡していたケースも47人あったという。

 予防策は暖房を効果的に使い、家の中の温度差を小さくすること。市消防局と長谷川医師は▽入浴前に暖房やシャワー、風呂のふたを開けるなどして浴室や脱衣所を暖めておく▽湯の温度は41度以下、湯に漬かる時間を10分以内にする▽浴槽から急に立ち上がらない▽飲酒後の入浴は控える-などを挙げる。入浴中に家族が声を掛け、安全を確認することも有効だという。

 市消防局は「浴槽内で意識を失っていたらすぐに119番通報し、溺死を防ぐためお湯を抜いてほしい」とアドバイス。脱衣所などを暖める際は「ストーブの火が洗濯物などに引火して火災になることもあるので注意を」と呼び掛ける。(西島宏美)

(2019年1月16日付 熊本日日新聞朝刊掲載)