大正期建築 旧長崎警察署 完成時の間取り判明 

山田教授(長崎総科大)が調査

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 長崎県庁跡地(長崎市江戸町)に隣接し、昨年まで県が使っていた大正期完成の鉄筋コンクリート(RC)造建物「旧長崎警察署」(地上2階、地下1階)について、完成当時に各部屋がどのように使われていたのかがほぼ分かった。昨年1月の県庁移転後、長崎総合科学大の山田由香里教授(建築史)が建物内部を調べ、当時の新聞記事と照合するなどして刑事室などの位置を突き止めた。詳細が判明したのは初めて。
 大正期から昭和初期に全国で建てられたRC造の警察庁舎は、全国10カ所ほどしか現存していない。1923年7月完成の旧長崎警察署は、その中で最も古いとされる。これまで間取りは大幅には変わっていないが、建設時の設計図がなく、どの部屋が何の目的で使われていたかなど、不明な点が多かった。
 45年8月の長崎原爆で当時の県庁をはじめ周辺建物がほとんど焼失した中、ほぼ無傷で残った被爆遺構の一つ。長崎警察署は、68年9月の同市桶屋町への移転まで使用。その後は県庁第3別館として引き続き使われた。所有する県が、県庁跡地活用に関連して保存・活用を検討しているが、現時点で結論は出ていない。
 山田教授は昨年10月、空き家になった建物内部を詳細に調査。改装で間取りが一部変わるなどしている場所は、改装の跡を調べて当初の間取りを確認した。一方、大正期に発行されていた地元紙の落成を知らせる記事から、各階ごとの部屋の名称などの記述を発見。情報を総合的に判断して、各階の部屋の位置や名称を特定した。
 その上で、95年の被爆50周年記念事業で長崎市が被爆遺構を調査した際に作成した各階の平面図に手を加え、完成時の図を復元した。位置が正確に特定できていない部屋も一部ある。
 復元平面図によると、1階には会計室や事務室などがあり、2階は刑事室、会議室など。屋上の南側はさらに建物になっていて一部3階建ての構造。地下留置場は現存し、休憩室や物置などもあったとみられる。
 山田教授は「警察署当時の姿が明らかになることは、建物の文化財としての価値を考える上で重要。まだ分かっていない設計者などについて、調査を続けたい」と話している。
 山田教授は18日、長崎市で開かれる県庁跡地に関するシンポジウムで、調査結果の概要を紹介する。大分市で3月開かれる日本建築学会九州支部の研究発表会でも報告する。

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 シンポジウム「都市の記憶III-旧長崎警察署保存と県庁跡地を考える」(長崎総合科学大長崎平和文化研究所、同大付属図書館共催)は18日午後6時半~8時半、長崎市江戸町の総合資格学院長崎校(江戸町センタービル4階)で。無料。問い合わせは同研究所(電095・838・4835)。

大正期の各部屋の役割などが判明した「旧長崎警察署」=長崎市江戸町
旧長崎警察署の復元平面図(山田教授提供、平面図の原本は長崎市発行「被爆建造物等の記録」から引用)