インドと長崎県 民間交流活発化 企業関係者 組織づくりへ覚書 IT企業2社 壱岐に進出表明

 IT産業の成長が著しいインドと長崎県の民間交流が進み出した。16日、長崎県とインドの企業関係者が情報交流組織づくりに向けた覚書を交わした。インドのIT企業2社は年内に壱岐市に事業所を進出させる考えを表明。長崎県のインド人留学生も増える見込みで、大国との経済交流が発展するのか注目される。
 16日午後、県議会棟の応接室。インドと長崎の企業幹部らが握手を交わした。
 「長いお付き合いを期待している。必ず成功すると思う」。そう力を込めたのは、元IBMインディア副社長のマハリンガム・チャンドラモーリ氏。水処理プラントメーカー、協和機電工業(長崎市)の坂井俊之相談役、IT企業のNDKCOM(同市)の中野一英社長と、交流組織づくりに向け取り組みを始める覚書を交わした。
 坂井氏は「今後、情報産業は(地方の)強さを決める基になる。連携を図る道を模索する出発点としたい」、中野氏も「新しい道が開けるかもしれない」と語った。2人は地元経済界で調整に動く構えだ。
 今回の場は、インド人の長崎県留学を仲介するシルバーピークグローバルの日本法人シルバーピークジャパンなどが設定。インドではIT関係者らが日本進出に意欲的という。昨年、在日インド大使館やインドのIT業界団体の幹部も来県。長崎県企業との連携を訴えていた。
 シルバーピーク側と交流があるインドのIT企業「3ESSエンタープライズ」「ラピード」の2社は、仲介者のいる壱岐市に年内にも進出する考えだ。覚書取り交わしの場に同席した「3ESS-」のチャンダー・マナー社長は「人工知能(AI)や仮想現実(VR)の事業に取り組み、日本人も雇いたい」とし、「ラピード」のブパラン・パドゥア社長は「ファッションやイベントをサポートするアプリを開発したい。派遣予定のエンジニアに日本語を勉強させている」と語った。17日、壱岐市を訪ねる。
 インド人留学生も増加傾向。シルバーピークジャパンによると長崎ウエスレヤン大には昨年10月から38人が留学し、日本語や日本文化を学ぶ。来年10月には100人が入る予定という。同法人の森伊作代表理事は「インド人留学生の県内就職も増やしたい」と意気込んでいる。

情報交流組織の発足に向けて覚書を交わす(右から)マハリンガム氏、坂井氏、中野氏ら=県議会棟

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