宝飾品ブランドの米ティファニーは、1月から新たに調達するダイヤモンドについて、原産地などの調達情報を消費者に明らかにする仕組みをスタートした。ダイヤモンドに独自のシリアルナンバーを施し、調達先をトレースできるようにする。店頭でも原産地情報を表記するとともに、原産地不明のダイヤモンドは一切扱わない。これにより紛争地域や人権問題に懸念のある地域からの原料は調達せず、原料調達の透明性を一気に高める方針だ。(箕輪弥生)
これまで現在のダイヤモンド業界では原産地を明確化することは困難を伴うことが多く、世界で算出されるダイヤモンドのわずか0.04%しかティファニーの基準を満たさないという。同社では透明性の高い調達ルートを開拓しており、その多くはボツワナ、 ナミビア、 南アフリカ、 カナダ、南部アフリカの責任ある管理・運営を行う鉱山で採掘されたものだ。
紛争地域で取得され、武装勢力の資金源となりうるダイヤモンドの流通を防ぐために、2003年から原産地証明書の添付を義務付ける国際的な認証制度「キンバリー・プロセス」がスタートしているが、今なお違法採掘が横行し、原産地の偽装が絶えない。また、同認証システムは原石のみに適用されるため加工されるとトレースが難しくなるという側面がある。
つまり、同社のように加工された製品の原産地を明らかにするには、原石を追跡できる仕組みが必要である。
そのため同社は1月から、登録済みダイヤモンドに肉眼では確認できないレーザーによる刻印によるシリアルナンバーを施すことで調達先を明らかにした。さらに店頭で陳列するダイヤモンドリングにも個々の原産地情報を表示し販売する。
同社アレッサンドロ・ボリオーロCEOは、「消費者はダイヤモンドジュエリーがどこで産出されたのか、どのような流通ルートを経て手元に届いたのかを知る権利がある」と話す。
同社では1500人以上の職人が働く自社のカット・研磨工場を持っているが、原産地に加え2020年までにそれらの工房所在地も明らかにする予定だ。