テン選手殺害、被告2人に禁固18年

遺族「主犯」主張の女被告は禁固4年

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太田清

47NEWS編集長

太田清

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共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

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2014年2月、ソチ五輪フィギュアスケート男子の表彰式で、金の羽生結弦選手の横で銅メダルを掲げるデニス・テン選手(右)(共同)

 2014年ソチ冬季五輪フィギュアスケート男子の銅メダリスト、カザフスタンのデニス・テン選手(25)が同国の最大都市アルマトイの路上で昨年7月19日、ナイフで刺され、死亡した事件で、アルマトイの裁判所は17日、殺人罪などで起訴された2人の男の被告それぞれに禁固18年を言い渡した。求刑はそれぞれ禁固20年だった。また意図的に通報を怠ったなどとして起訴された、被告の1人のガールフレンドで妊娠中の女について禁固4年(求刑同)が言い渡された。ロシアのニュースサイト「ガゼータ・ルー」などが報じた。 

 起訴状などによると、被告2人は共謀して路上に駐車中だったテン選手の高級車からミラーを盗もうとしたところをテン選手に見つかりもみあいになり、うち1人が同選手をナイフで刺し出血多量で死亡させた。出血量は3リットルにも上った。2人は逃走したがその後逮捕され起訴された。2被告は「テン選手とは知らず、窃盗の意思はあったが殺すつもりはなかった」と主張していた。

 テン選手の遺族側弁護士は、犯行を主導したのは女だったとして同様に禁固20年を求刑するよう検察側に求めたが、聞き入られなかった。またテン選手の母親は犯行は窃盗に伴う偶発的なものではなく、何者かが計画し実行犯の被告に依頼した「注文殺人」だったと主張したが、この日の判決は母親の主張を否定した。

  被告の一人、アルマン・クダイベルゲノフ被告は判決言い渡し後、「この世に(テン選手ほどの)立派な天使はいなかった。われわれは彼を失ってしまった」と後悔の念を語った。 

 事件を巡っては、クダイベルゲノフ被告が事件前に、別の車のミラーを盗もうとして逮捕されていたにもかかわらず釈放されていたことが明らかになり、司法当局の不手際が指摘されていた。  

 テン選手はカザフスタンにフィギュアスケートで初めてメダルをもたらした英雄だった。 (共同通信=太田清)