“男子禁制”うたげ楽しむ 平戸・春日集落「女子講」

 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産に含まれる春日集落(平戸市春日町)で15日、地元の女性だけが集い、観音様のお掛け絵を祭って会食する年に1度の風習「女子(おなご)講」があり、“男子禁制”のうたげを楽しんだ。

 春日集落は、1873(明治6)年に信仰が解禁された後もカトリックに合流せず、かくれキリシタンとして仏教も受け入れる形態を守り続けてきた。

 「講」は集まりの意味とされる。女子講は、お産や家内安全の神とされる観音様に感謝する行事。お掛け絵を1年間預かり女子講の会場として食事を振る舞う「宿」を、春日集落にある10軒が毎年順番に担う。

 今年の宿となった主婦、綾香和枝さん(81)の自宅には80~90歳代の計8人が集まり、観音様のお掛け絵に手を合わせた。テーブルには、お手製の大根の白あえやちらしずし、吸い物などが並び、出席者は卵酒も味わいながら女性だけの会話に花を咲かせた。

 綾香さんは「私たちが元気なうちに大切な文化を次の世代に残しておきたい」と話した。

「女子講」で観音様のお掛け絵(後方)を祭り会食を楽しむ女性ら=長崎県平戸市春日町

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