高スキルIT人材の給与って実際いくら? 求人倍率20倍! ロバート・ウォルターズ・ジャパン「給与調査2019」から読み解く

高い技能を持った人材(ハイスキル人材)の給料って、実際どのくらいなのか―――。

全産業に共通するグローバル人材の最新トレンドは、国内採用トレンドはなにか―――。

専門スキルと英語力を備えたグローバル人材の転職を支援する人材紹介会社のロバート・ウォルターズ・ジャパンは1月15日、「給与調査2019」を発行。

外資系・日系グローバル企業の国内拠点が扱った、ハイスキル人材の求人・中途採用の事例をもとに、産業・職種別に採用動向と給与水準をまとめたデータが、この一冊に集約されている。

今回の「給与調査2019」冊子版は、日本語版、英語版の2言語で希望者に無料で配布。また「給与調査2019」オンライン版も robertwalters.co.jp にて公開中。

同社はこの「給与調査2019」発行にあわせ、都内で会見を開き、グローバル人材の国内採用トレンドの概況について発表した。

日英バイリンガル+高いスキルの人材は求人倍率20倍!

「給与調査2019」発行記者発表に登壇した、ロバート・ウォルターズ・ジャパン の ジェレミー・サンプソン代表取締役社長は、高スキル系グローバル人材の採用・転職トレンド(業種・職種別)や、給与水準の傾向を2019年の見通しについてコメントした。

―――2018年は、あらゆる産業でデータ利活用やAI開発/導入、クラウドなどのインフラに関わる求人が急増。

自動運転、スマートサプライチェーン、インダストリー4.0 など、IoT技術の開発/導入がすすむなか、通信インフラ整備のキーとなる第5世代移動通信システム(5G)実現に携わる求人も目立った。

自動化はグローバル人材採用をどう変えるか?

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)・ロボット・機械学習などの先進技術の導入で自動化(オートメーション)が広まるのと同時に、2018年は大手金融機関などでは、一般事務職の席数を段階的に減らす動きもみえた。

しかし、大多数の企業では自動化によって従来の職種・ポジションでの業務効率を改善。

収益に直結する仕事などに人知を集約する環境を整え、従業員のワークライフバランスを改善しながらビジネスの競争力を伸ばしている。

また、自動化に関わる技術の開発・導入・運用を担う仕事も多くなってきた。

データ・情報をもとに戦略を編み出すなど、専門知識や経験がカギを握る仕事、人の手を介すことが付加価値につながる仕事では、人材需要が従来以上に高まっている。

フィンテックやセキュリティの専門人材給与相場が続伸

2018年は、フィンテック(FinTech、金融テクノロジー)の台頭など、産業構造の変化が現実味を帯びた1年だった。

フィンテック事業では仮想通貨やファンドといった金融ビジネスに明るい銀行出身者や、アプリケーション開発者の採用が目立った。

また、仮想通貨事業でのサイバー攻撃騒動を受けて監査/内部コントローラー/コンプライアンスの増員に踏み切る企業が相次いだ。

さらに、GDPR(EU一般データ保護規則)を受けてセキュリティ強化の意識が高まり、セキュリティ人材やセキュリティ商品の営業を担う人材も需要が高まっている。

業界に隔てなく、市場での競争力を高めようとデータサイエンティストを確保・活用したい考えを示す企業も急増。

働き方法案の成立を追い風に、生産性向上を目的にRPA・ロボット・機械学習技術の活用の速度が高まり、これらの先進技術を扱うエンジニア、コンサルタント、営業職の需要も高まっている。

このトレンドに追従するように、専門人材の給与相場は続伸。2019年は過去最高レベルの伸び幅に達すると見込んでいる。

観光などのサービス・ホスピタリティ分野も人材需要増

全国的な訪日観光客需要の好調を受け、消費財・サービス分野でも営業職、マーケティング職などの需要が高まっている。

日・英の2か国語を扱えるホスピタリティ分野のスペシャリストは、需給のひっぱくが顕在化。

統合型リゾート実施法(カジノ法案)の成立を受け、カジノ・エンターテインメント施設、周辺の宿泊・商業施設開発の計画がすすめば、外国人客の応対を担えるバイリンガルのホスピタリティスタッフの大規模な採用活動へとつながる。

海外展開やクロスボーダーM&Aの流れもあって売り手市場

また、国内企業の海外事業の拡大、海外拠点の増強と外資系の新規参入・国内事業拡大、クロスボーダーM&Aの増加など、グローバリゼーションの流れも加速。

そのため、2018年も業界に隔てなく広範な領域で、グローバルのビジネス慣習と英語・日本語に堪能な人材を採用したいという企業が多く、業界/職種での専門スキルと経験を備えたグローバル人材の需給が迫られている。

そうしたなか、外国人留学生の増加、留学生の日本語力・学力の向上などを背景に、一部の仕事では外国籍人材の採用に緩やかな増加が見られる。

こうしたトレンドを背景に、2019年も採用市場は売り手優位の傾向が高まること予想。「給与調査2019」では、IT企業のデータサイエンティストの転職時給与が2017年800~1200万円、2018年には800~1500万円と上昇していた。

全産業に共通する国内採用・給与トレンド

ロバート・ウォルターズ・ジャパンは、「給与調査2019」発行記者発表で、全産業に共通する国内採用・給与トレンドについて、次の7トピックスをあげた。

◆すべての分野で人事ビジネスパートナー求人が増える

◆フィナンシャルプラニング&アナリシスの求人が増える

◆サプライチェーンプランナー、アナリスト、プロキュアメントマネジャーの求人が増える

◆グローバルのビジネス慣習に精通する人材、日英バイリンガルへの引き合いが強くなる

◆転職時の給与水準は前年比10-19%増を見込む

◆日英バイリンガル+専門性がとくに高い人材の求人倍率は20倍(1人に20の就労機会がある)になる

◆外国人採用が増加する

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