犬用車いすじわり浸透 歩行困難も「散歩」実現 千葉市の競技用メーカー製造

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「犬は話さないので大変でした」と犬用車いすの製作を語る飯田さん=千葉市若葉区のオーエックスエンジニアリング社

 2020年東京パラリンピックに向けて障害者スポーツへの関心が高まる中、日本を代表する競技用車いすメーカー「オーエックスエンジニアリング」(千葉市若葉区、石井勝之社長)が“本業”と並行して地道に製造している「犬用車いす」が、じわりと浸透している。ペットブームに伴い、四足歩行が困難な愛犬と一緒に散歩したい飼い主のささやかな願いが、犬用車いすの需要を支えている。

 同社の競技用車いすは、テニス、バスケットボール、陸上などで各種目で活用されており、同社製の車いすを使った選手がこれまでパラリンピックで獲得したメダルは100個以上。同社製の車いすは、東京パラでも欠かせない存在となっている。

 本業でパラアスリートから支持される同社が、犬用車いすを開発したのは、社長の愛犬「モグ」(シーズー)がヘルニアで歩けなくなったのがきっかけ。有志の社員が集まり、犬用車いす作りに挑戦することになった。

 当時、犬用車いすを販売する国内での店舗はほとんどなく、海外で使われていた犬用車いすの画像を参考に手探りで試作。担当だった飯田秀章さん(42)は「犬の種類は多く、人以上に違いがあって大変だった」という。

 試作1号が仕上がったのは2007年。四輪駆動タイプだったが、体への負担が大きく歩きにくかった。改良型は重心の位置を調整できる2輪に変更するなど試行錯誤を繰り返した。完成へのステップを着実に進む中、モグは息を引き取った。

 モグが完成した車いすを使うことはなかったが、開発途中に客から「犬用の車いすはあるか」との要請も受けており、改良を継続。モグの死から半年後に犬用車いすが完成。商品名にはモグへの思いを込めて「Wilmog(ウィルモグ)」と名付けた。

犬用車いす「Wilmog」を装着した犬(オーエックスエンジニアリング提供)

 08年に販売を開始し、現在までに250台以上を製造。改良を重ね、犬の種類や体長の大きさに応じて微調整できるようにし、装着も簡単になった。「気持ちも明るく」との願いから、フレームの色を鮮やかにしたのも特徴。

 同社は、「四足歩行ができなくなったとしても、犬用車いすを使ってペットと飼い主が再び散歩を楽しんでほしい」と障害の克服を目指している。