サッカー日本代表・塩谷 追加召集した森保監督の意図

©株式会社ニッポン放送

話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、17日のサッカー・アジアカップ、ウズベキスタン戦で、貴重な決勝ゴールを決めた塩谷司選手のエピソードを取り上げる。

1次リーグ・日本-ウズベキスタン。後半、ゴールを決め喜ぶ塩谷司(中央、アルアイン)=2019年1月17日、アラブ首長国連邦・アルアイン

「頭が真っ白になった。セットプレー崩れからだったけど、自分の良さが1つ出せたんじゃないかな」(試合後、塩谷コメント)

17日、アラブ首長国連邦(UAE)で行われたアジアカップ・グループリーグ第3戦。史上最多・5度目のアジア制覇を目指す日本は、ウズベキスタンと対戦しました。ともに決勝トーナメント進出は決まっていますが、1位で通過するには負けられないゲーム。今後の戦いも見据え、控え選手たちの力量を測ろうと、森保一監督は思いきってスタメン10人を入れ替えました。

抜擢された選手のなかで、みごと結果を出した1人が、ボランチを務めたDFの塩谷司(30歳・アルアイン)です。試合は前半終盤までなかなか点が入らない、非常にもどかしい展開に。40分、ウズベキスタンに先制を許しましたが、直後の43分、武藤嘉紀が室屋成のクロスに頭で合わせ、日本はすぐ、1-1の同点に追い付きます。

そして58分……再び室屋のクロスがゴール前でこぼれたのに、塩谷は素早く反応。左足で華麗なミドルシュートを叩き込み、日本が逆転! そのまま逃げ切って、日本は1位通過で決勝トーナメント進出を決めたのです。

まさに値千金の決勝ゴールでしたが、塩谷にとっては、実に3年3ヵ月ぶりとなる代表戦出場でした。前回のアジアカップでは代表に選ばれたものの、結局、出場機会はないまま終わりました。そんな悔しい経験もあって、「なんとか代表復帰を!」と考えた塩谷は、海外での武者修行を決断。2017年、サンフレッチェ広島から、UAEの強豪・アルアインへ移籍したのです。

よくある欧州移籍ではなく、中東への移籍です。UAEの夏は、ナイターでも40度を超す厳しい環境。そんななか、塩谷は新天地・アルアインで、センターバック・左右のサイドバック・ボランチと、チーム事情に応じてどんな役割でもこなし、チームメイトや監督の信頼を勝ち取っていきました。

昨年12月のクラブW杯で、アルアインは決勝に進出。王者・レアルマドリードに1-4で完敗しましたが、そのとき挙げた唯一の得点は、塩谷のゴールでした。そんな逞しくなった塩谷を、広島時代の恩師・森保監督は追加で召集。

今回の試合会場・アルアインは、塩谷にとって勝手知ったるホームであり、森保監督はそれも計算に入れた上での「抜擢」でした。広島時代の同僚・MF青山とボランチを組ませたのも心憎い配慮。そして塩谷もしっかり、指揮官の期待に応えてみせたのです。

「前回まだまだ自分が未熟だったので試合に出られなかった。今回は追加で呼ばれて1日1日、自分にできることをしようとやってきて、いい準備ができた結果、今日のパフォーマンスにつながったのかな」(塩谷)

2年ぶり5度目のアジア制覇に向けて、戦いはこれからが本番。一戦必勝の負けられない戦いが続きます。21日に行われる決勝トーナメント1回戦の相手は、サウジアラビア。切り札・塩谷がどんな活躍を見せてくれるのか、注目です。