広重の竪絵東海道勢ぞろい 藤澤浮世絵館で紹介

 江戸時代後期に活躍した浮世絵師、歌川広重が手掛けた東海道五十三次のシリーズから、「五十三次名所図会」(通称「竪絵(たてえ)東海道」)全55点と関連資料6点が並ぶ。

 同図会は通称の通り、縦の構図を生かして風景を高所から見下ろすように描く。随所に「ぼかし」の技法を用いることで遠近感を表現し、空間に奥行きを生んでいる。

 藤沢宿として描かれた「南期(なんご)の松原左リ不二」は、茅ケ崎市南湖から、松林の奥に見える富士山を捉えた作品。東海道を西に進むと、この辺りでは富士山が左側に見えて珍しかったため「左富士」と呼ばれた。日本橋から京まで宿場をたどり、小さな旅が味わえる。

 ※2月17日まで。祝日を除く月曜と2月12日休館。入館無料。JR辻堂駅徒歩5分。問い合わせは同館電話0466(33)0111。

歌川広重「五十三次名所図会 七 藤沢 南期の松原左リ不二」

© 株式会社神奈川新聞社