子どもたちに輝きと未来を~みなとみらい本町小学校~ 真のダイバーシティを考える 第33回

横浜市立みなとみらい本町小学校に注目しています。
みなとみらいの人口増加に伴い、2018年4月に開校した、横浜みなとみらい地区にある10年間の暫定施設です。

本校初代校長の小正和彦氏は、民間企業出身でロンドン駐在の経験を持ち、在籍中海外駐在員子弟向けの学習塾や海外進出企業を対象に、駐在員指定サポート部門に従事しました。その後、国際交流関連のNPO法人の理事長も務めています。つまり、日本特有の教育機関からは広義な「子どもたちの育成」に関わってきた方です。

小正校長は、小学校を新設するにあたり開設準備時代から、その訴求テーマを「持続可能な開発のための教育 Education for Sustainable Development(ESD)」と見極め、ESDの推進拠点であるユネスコスクールにも加盟しました。みなとみらいに新しい学校を作るのは、単に子供が増えたからではなく、「地域に必要なものは何か」を考えた結果であり、その思いから開校宣言を作ったといいます。

「横浜の経済・賑わいの中心である……みなとみらいの資源を活かし、持続可能な社会の担い手を育む」

SDGsが国連で採択されてから、企業理念的な位置づけにもSDGsが欠かせない昨今、みなとみらい地区は、ふつうの地域にあるような商店街や神社やお寺もない代わりに、いろいろな企業や商業施設があります。それらを巻き込んで、持続可能な社会の担い手となる子供たちを育てていく、そのような準備を行っていました。

学校ごとに裁量枠のあるカリキュラム編成について、果敢に独創を図り、構内の下駄箱には、SDGsの17のゴールを貼り出し、防災マップの作成や地域の清掃活動、食品のルーツを探る、エネルギー再生など、身近に取り組める活動が日常化しています。

そして、2018年12月には、みなとみらい本町小学校にて、第10回ユネスコスクール全国大会(ESD研究大会)が開催されました。
小学校5年生が取り組む海の環境をテーマに「みんなでつくろう Beutiful Ocean! Everybody Smile 大作戦」や、海の環境を守るために、街のごみ拾いの活動を続けているNPO法人海さくらを迎え、「海のごみの約8割は街からやってくる」ことを学びました。

今の自分たちにできることを考え、もっと街の人にみなとみらいの海の現状を知ってもらうための活動を描きたいとしています。他にも日本ユネスコ国内委員会の安西会長、エシカル協会の末吉代表など、多くの有識者や他校とのワークショップなど、子どもたちと地域を巻き込み、盛会のうち幕を閉じました。

来年には、小中学校の学習指導要領にSDGsが組まれることが決定しています。私たち大人が、いかに果敢にかつ独創的になれるのかが問われています。子どもたちを輝かせ、未来を拓く仕掛けを創出するのは、私たち先人の最重要使命なのです。

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