暴力団組長が標的か 川崎の拳銃発砲、車に同乗の2人重傷

 神奈川県川崎市川崎区の路上で17日夜に起きた発砲事件で、負傷した男女2人が男に銃撃を受けた際、指定暴力団稲川会系組長と一緒にいたことが18日、県警への取材で分かった。県警は組長が標的だった可能性があるとみて、暴力団絡みのトラブルなど背後関係の把握を進め、殺人未遂容疑などで逃走した男の行方を追っている。

 暴力団対策課によると、撃たれたのは稲川会系の男性組員(51)と、組関係者の女性(47)。2人は組長らと乗っていたワゴン車を降りた直後、男ともみ合いになり、男性は首を、女性は腹を少なくとも1発ずつ撃たれて重傷を負った。命に別条はないという。2人より先に降車した組長にけがはなかった。

 現場は組長の自宅前で、銃撃した男は車の到着を待ち伏せていたとみられる。目撃証言によると、男は身長170センチ前後で、JR川崎駅方向に立ち去った。拳銃は見つかっていない。県警は周辺の防犯カメラを解析して発砲前後の男の足取りを調べる。

 発砲した男が逃走していることを受け、現場近くの小学校では18日、集団下校や教員、警察官が通学路で児童らを見守る対応が取られた。

 市教育委員会は同区と幸区の市立学校53校に「子どもの安全を第一に考えた対応」を求めた。現場から約500メートルの市立向小に1年の次女(7)を迎えに来た母親(34)は「犯人はもう近辺にいないと思うが、子どもも不安がっている。早く捕まってほしい」と話していた。

発砲から一夜明け、現場周辺を調べる県警の捜査員ら=18日午後2時25分ごろ

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