被爆者手帳 訪韓交付へ 長崎市、判決受け職員派遣

 韓国人元徴用工の男性3人への被爆者健康手帳交付を長崎市に命じた長崎地裁判決を受け、市は18日、22日の控訴期限を経て判決が確定し次第、早期に担当職員を韓国へ派遣し、原告の3人に手帳を直接手渡す方針を明らかにした。

 海外居住者には通常、在外公館を通じて手帳を交付するが、手続きに数週間かかることもある。在外被爆者支援連絡会の月川秀文共同代表らが18日、市役所を訪ね、3人とも90歳を超えていることから早期交付を要望。市原爆被爆対策部の中川正仁部長が「一日も早く届けたい」として、職員を派遣する考えを示した。

 3人は戦時中に三菱重工業長崎造船所(長崎市)に徴用され、原爆に遭ったとして手帳交付を申請したが、市は裏付けが取れないとして却下。8日の地裁判決は3人の証言は信用できるとして市に交付を命じた。

 在外被爆者支援連絡会は審査の見直しも要望。中川部長は、証言の裏付け調査について「これまでも尽くしてきたが、限界もある」とし、審査の方向性は今後も変えないとの認識を改めて示した。

被爆者健康手帳の早期交付を求める要望書を中川部長(左)に手渡す月川共同代表=長崎市役所

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