熊本地震の教訓生かして NPO代表が平塚で講演

 震度7を2度観測した熊本地震の教訓などを学ぶ平塚市の防災講演会が19日、市中央公民館(同市追分)で開かれた。被災地で活動するNPO法人「益城だいすきプロジェクト・きままに」代表理事の吉村静代さん(68)が避難所運営などに主体的に取り組んだ災後の日々を語り、「自分事と受け止めて」と呼び掛けた。

 2016年4月の熊本地震で自宅が全壊した吉村さんは4カ月間、小学校の体育館に身を寄せた。当面の生活の場である避難所を少しでも快適な空間にしようと、ラジオ体操を呼び掛けたり、キッズサロンや学習ルームを設けたりした。

 講演では、支援に頼った避難所運営ではなく、「みんなで話し合って決める」ことが大切と強調。避難者が続々と押し寄せる地震直後には、「車いすの人が動けなくなってしまう」と考え、「他の避難者に協力を求めて非常口と避難通路を確保した」という。

 また、「お茶を飲みながら、互いの痛みを共有できるように」と、カフェを開設。つらい経験を口にしたくない人が思いを吐き出せるようにするため、自由に書き込めるノートを置くなど工夫を重ねた。

 現在の被災地は「自立再建する人と復興住宅に入る人が分かれていく段階」。暮らしている仮設住宅で、被災を機に仲良くなった人々を結ぶ活動に奔走している。

 また、神奈川新聞で毎週日曜日の防災のページ「減災新聞」を担当する渡辺渉記者(44)も登壇。熊本地震と同様に震度7を記録した04年の新潟県中越地震や東日本大震災などを取材した経験を基に、「過去に学び、着実に備える」よう呼び掛けた。

 防災講演会は、平塚市が東海地震の対策強化地域に指定されたことを機に始まり、50回目の今回は神奈川新聞社と共催した。

熊本地震の経験と教訓を語る吉村静代さん=平塚市中央公民館

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