<東北の本棚>感動が伝わる「真正性」

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◎世界から見た北の縄文 御所野縄文博物館 編

 世界文化遺産への登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田各県)。1万年以上続いた先史時代の文化の変遷を伝える遺跡群だ。三内丸山遺跡(青森市)や御所野遺跡(岩手県一戸町)など17遺跡で構成する。

 本書は「日本列島の外から見た縄文文化」を切り口に、この遺跡群について考古学者らが御所野縄文博物館などで講演した内容をまとめた。

 北海道・北東北の縄文遺跡群は、サケやイノシシ、木の実など豊かな自然の恵みを背景に成立した。考古学者の羽生淳子カリフォルニア大バークレー校教授は、発掘された食料研究などを通し、当時の保存技術や調理方法が現代に伝わっている点を評価。人間と環境の持続可能性を考える上で重要な遺跡群だと話す。

 文化人類学者のジョン・アートル慶応大教授は、世界遺産になる上で大事な視点は「真正性」だと指摘する。当時の森や広場の復元に力を入れてきた御所野遺跡は、人々が「縄文時代だ」と感じられる場所であり、その感動こそが真正性に値するという。

 御所野縄文博物館の高田和徳館長は「縄文文化を未来に伝えるには、地域でその価値を理解してもらうことが必要」と述べる。地域の宝を世界に発信するという気概が伝わってくる。

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