若き夏目漱石らの姿しっかり伝える

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松本源太郎と夏目漱石の関係について講演する中島国彦さん(左)と長島裕子さん=1月20日、福井県立こども歴史文化館

 文豪夏目漱石の学生時代の成績を記した手帳など、福井県越前市出身の哲学者で教育者の松本源太郎が残した成績帳や日記などの資料を解説する講演会が1月20日、福井県立こども歴史文化館(福井市)で開かれた。資料を確認した研究者らが「手帳は松本の肉筆。若き日の漱石らの姿をしっかりと見る松本の情熱が伝わってくる」と語った。

 資料は、第一高等中学校(後の旧制一高、東京大教養学部の前身)で教員を務めていた松本が、漱石や正岡子規、福井市生まれの国文学者芳賀矢一らの成績を記した手帳や、松本が最晩年まで約40年間書き続けた日記44冊。松本の子孫が越前市に寄託した資料の中から見つかった。

 漱石研究の第一人者である早稲田大名誉教授の中島国彦さんと、同大文学学術院非常勤講師の長島裕子さんが講演。長島さんは「漱石より8歳年上の松本が、生徒たちに親身になって向き合っている授業の風景が成績帳から見えてくる」と述べ、「芳賀らに漱石が宛てた書簡など含め、松本を中心につながった人脈が見えてきた」と指摘した。

 中島さんは、第一高等中学校の職員名簿録を見ると、松本が着任した1886年は嘱託教員、87年に教諭となっていると説明。99年に松本が熊本の第五高等学校(現熊本大学)の教頭に着任した際の校友会誌には、漱石や生徒たちが喜び、松本の人柄について、威厳がありながら話すと親しみが持てると書かれていると紹介した。

 講演会には多くの市民が詰め掛け、資料群を寄託した松本宗雄さんら子孫の姿もあった。