日ハム王柏融、背中を押す台湾ファンの熱い声に活躍宣言「美しい思い出を力に」

古巣のLamigoモンキーズが開いた歓送イベントに出席した日本ハムの王柏融【写真:駒田英】

古巣主催の歓送イベントに1000人以上のファンが来場

 台湾プロ野球で初めて海外移籍制度を利用して北海道日本ハムファイターズに入団した王柏融選手が、地元・台湾のファンの前で日本球界での活躍を誓った。

 1月20日、王の古巣であるLamigoモンキーズは本拠地・桃園国際球場にて歓送イベントを開催した。肌寒さに加えて時折小雨もぱらつくというあいにくの天気だったが、球場には1000人を超えるファンが詰めかけ、イベントは大盛況となった。

 今回のイベントでは、Lamigo時代の背番号「9」、もしくはファイターズの背番号「99」のいずれかが記されたウェアやグッズ等の着用または持参が、入場するための「ドレスコード」となっていた。早くもファイターズのレプリカユニホームを着て入場するファンの姿も見受けられ、改めてその人気ぶりが窺い知れる形となった。

 ファンとハイタッチをしながら、大歓声を受けつつ一塁スタンド最前列の舞台に登場した王に対し、ファンの中から代表として選ばれた2人がメッセージを送った。アマチュア時代から応援していたという女性は、感極まりながら「あなたの一歩が、世界を目指す次世代への道しるべになると信じている。バットと守備で『世界の大王』であることを証明してほしい」と激励の言葉を送った。

 また、別の男性ファンは「背番号9の後ろには『10號隊友(背番号10のチームメイト=Lamigoファンの通称)』がいた。99の後ろは100、つまり10の二乗だ。我々は10倍応援する」と述べ、喝采を浴びていた。

 約100人のファン一人ひとりから、想いのこもったプレゼントを直接受け取った後に挨拶に立った王は、まず初めに「皆の応援、激励の声は、しっかり届いていた」と、Lamigoファンに深く感謝した。また、Lamigo球団、春季キャンプ中でイベントに参加できなかったLamigoのチームメート、監督・コーチらに対し、「皆のおかげで、3年あまりの台湾プロ野球でのキャリアにおいて美しい思い出を作ることができた。この思い出を力にして、さらに高いステージで奮闘していきたい」とし、日本球界での活躍に向けて決意を語った。

ファイターズのユニホームでの「初打席」もお披露目

 ファンの質問に答えるQ&Aコーナーで、いかにプレッシャーに立ち向かうかを問われた王は「プレッシャーから逃れることはできない。まずは失敗するかどうかについては考えずに、平常心でチャレンジするべきだ」という考えを示した。また、今シーズンの目標については「これまで通り、健康第一だ。コンスタントに試合に出続け、皆にプレーする姿を見てもらいたい」と話した。

 そのQ&Aコーナーに続いて、王選手が学生のバッティングピッチャーと「対決」するというセレモニーも行われた。ファンがLamigo時代の応援歌「夢花火」を大声で歌う中、ファイターズの新ユニホームに身を包んだ王が打席へ。「初打席」でライト線へのライナーを放つと、スタンドのファンに向けて笑顔で手を振っていた。

 その後のサイン会も含め、イベントは2時間半にも及ぶ長丁場に。しかし、王はファンとの交流を心から楽しみ、終始笑顔を浮かべていた。だが、イベント終了後に報道陣から会場にもなった桃園球場への思い入れや、慣れ親しんだ台湾を離れることについて問われると、寂しそうな表情も浮かべていた。日本ハムに合流するまでの時間は、できる限り家族と過ごしていくとのことだ。

 このイベントでは、Lamigo系列の旅行会社によって行われる観戦ツアーについても発表された。同社では、日本ハムの開幕3連戦(3月29日~31日・札幌ドーム)を観戦する5日間のツアーに加え、ラミゴと千葉ロッテマリーンズの交流戦「Power Series 2019 in CHIBA」(3月14日、15日・ZOZOマリンスタジアム)および、翌16日のオープン戦、ロッテ対日本ハム(ZOZOマリン)の計3試合を観戦するツアーも企画している。

 なお、パ・リーグ6球団とパシフィックリーグマーケティング株式会社は、FOXスポーツ台湾との間で、台湾におけるパ・リーグ主催試合の放送契約を今シーズンから3年間にわたって締結している。これにより、TVやインターネットを通じて、台湾からでもオープン戦から王の活躍をリアルタイムで視聴できる形となっている。

 王は日本での生活で最も不安な点として、コミュニケーションをとる上で必須となる日本語を挙げていた。だが、王の通訳に就任した蕭一傑氏は、高校から日本へ留学してドラフト1位でNPB入りし、セ・パ両リーグ(阪神及びソフトバンク)でプレーした経験の持ち主。同郷(屏東県)出身であることに加え、日台の野球と文化を熟知している蕭氏は、王にとって心強い存在だと言い、すでに様々なアドバイスも受けているそうだ。

 王はどちらかというと朴訥な人柄で、派手なパフォーマンスなどは得意ではない。しかし、野球への真摯な姿勢や真っ直ぐな性格は、きっと温かい北海道のファンにも愛されることだろう。王は日本のファンへ向け、「是非プレーに注目してください。そして、ファイターズの応援をお願いします」と語っている。高まる期待の分だけプレッシャーも大きいはずだが、日本、そして台湾のファンからの応援に加え、座右の銘である「プレッシャーを持つ勇気」をもって重圧を乗り越え、活躍を見せてほしいところだ。(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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