長崎市にAI開発拠点 富士フイルムHD

 富士フイルムホールディングス(HD)は21日、次世代の人工知能(AI)技術を開発する研究拠点施設を3月1日に長崎市内に開設すると発表した。県や長崎大と連携し、橋梁(きょうりょう)など社会インフラ構造物の点検や診断業務を効率化する高度な技術の提供を目指す。将来的には医療分野などの領域にも最新のAI技術を応用し、社会的課題の解決を目指す施設にする。
 同社は昨年10月、東京都内にAI技術の開発拠点「Brain(s)」(ブレインズ)を開設。長崎はこれに続く拠点「Brain(s)九州」としてスタートする。
 同社は主に画像診断や一般写真の分野で、画像から必要な情報を読み取るAI技術を開発。これまでに橋梁やトンネルなどのひび割れ点検業務を効率化する画像診断サービスを提供してきた。ブレインズではさらに、東京大や理化学研究所などと緊密に連携した研究活動で次世代のAI技術開発を推進している。
 ブレインズ九州では、同社の画像解析・AI技術と、県が蓄積している県内の社会インフラの維持・管理データ、長崎大の土木工学の知見を融合。県内の橋梁などで実証実験をし、より高度な技術を確立する。
 2020年4月には、グループ会社で最新のソフトウエア開発を手掛ける富士フイルムソフトウエアが、施設内に長崎営業所を設置。研究開発から商品化までを一貫して対応できるようにする。人員は5年後に50人体制となる見込み。
 また、県からIT人材の育成や採用支援を受け、九州管内で就労希望がある高度IT人材の活躍の場にしたい考えだ。
 21日は中村法道知事とHDの依田章執行役員が都内で会見。依田執行役員は今後の展開として「社会インフラ維持の研究だけでなく、ヘルスケア分野などでも連携していきたい」と話した。

長崎市へのAI研究拠点施設開設が決まり、握手する依田執行役員(左)と中村知事=東京都内

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