鞆トンネル設計、19年度着手 広島県が方針

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 広島県が2019年度、福山市鞆町の中心部のバイパス機能を担う山側トンネルの建設で設計に乗り出す方針を固めたことが21日、分かった。湯崎英彦知事が12年6月に撤回した鞆港埋め立て・架橋計画で、代わりに進めるハード整備の中核事業がようやく具体化する。建設ルートはまだ確定させておらず、住民説明会で最有力とした案を修正する方向で検討を急ぐ。

 ルートを巡る県の協議は大詰めを迎えており、複数の関係者によると「近く確定させ、湯崎知事が2月1日にも現地で住民に直接、説明して理解を求める」とのスケジュール案が浮上していることも判明した。この案通りに事態が進むかどうかは流動的だが、実現すれば架橋計画の撤回後では4回目の現地訪問となる。

 県はトンネルの設計費を、2月6日に開会する県議会定例会に提案する19年度一般会計当初予算案に盛り込む方向だ。高潮に備えるための護岸の建設や電線の地中化など、鞆町のまちづくりを進めるための振興推進費として9億円規模の事業費を確保し、その一部を振り向けると想定する。県議会で認められれば、トンネル建設に向けた実質的なゴーサインとなる。

 ルート案の修正を検討するのは、県が昨年12月に鞆地区で開いた住民説明会の影響が大きい。県は具体的な三つの案を初めて地元に示し、接続する道路を含めて住宅の立ち退きがない長さ2・0キロ、事業費50億円の「第2案」を最有力とした。これに対して住民からは、生活環境の悪化などを理由に、長さ2・5キロ、事業費70億円の「参考案」を支持する声が相次いだ。

 地元の鞆町内会連絡協議会はこの日、ルートの再検討を求める湯崎知事宛ての要望書を県に提出した。県庁内でも「説明会の声を踏まえると、第2案のままで事業を進めるのは難しい」との受け止めが出ている。住民の理解を一定に取り付けられる修正案をまとめられるかどうかが、早期の着工に向けた焦点となる。

 【山側トンネル建設計画】広島県が鞆港埋め立て・架橋計画を2012年6月に撤回した際、町中の狭い県道の「バイパス機能」を持つ抜本的な交通対策と位置付けた計画。県は昨年12月、地形や地質などの現地調査の結果を踏まえて、トンネルに接続する道路も含めて1・7~2・5キロの三つのルート案を地元に示した。いずれも西側の出入り口は県道鞆松永線の清水橋付近で共通する一方、東側は「第1案」が鞆町中心部の近く、「第2案」が町東部の産業道路に接続する地点、参考案とする「第3案」が町東部の鉄鋼団地付近とそれぞれ異なる。