今年2019年に開催されるビッグイベントの一つ、FIFA U-20ワールドカップ。前回大会に続き出場を決めている日本は、影山雅永監督のもとで世界の舞台に臨む。
この年代の注目選手の一人である平川怜は、1歳年下の久保建英とともに2017年のU-17ワールドカップで活躍。同年11月にFC東京とプロ契約を結び、同クラブでは日本人史上最年少となるJ1デビューも飾った。
迎えた2018シーズン。平川は高校3年生ながらそのプレーが注目されていたが、怪我もあり難しい一年を送ることとなった。
消化不良といえるシーズンの中で、彼は何を感じたのか。長く一緒にプレーしている久保との関係性などともに聞いてみた。
「すごく物足りないシーズン」
――平川選手にとって昨シーズンはどういう一年でしたか?
怪我から始まって出遅れてしまい、そこから復帰しコンディションを上げるのにも時間がかかりました。その結果試合に絡めず、J1で1試合、天皇杯でも1試合のみの出場に終わってしまったので、個人的にはすごく物足りないシーズンでした。
――トップチームの指揮官が長谷川健太監督になって、チームのスタイルなどもだいぶ変わった印象です。
新しい監督になったことで当然スタイルも変わり、そのスタイルに自分を合わせてプレーしていたんですけど、なかなか監督にアピールできずに終わってしまったかなとは思っています。
――FC東京の場合はトップに加えてU-23のチームもあり、それを行き来するような形だったと思います。そうした中で、難しさは感じた部分は?
U-23でプレーし、常にそこで結果を残さないとトップチームにはなかなか絡めなくて。自分のポジション(ボランチ)だと得点してアピールというのも簡単ではないので、アピールの仕方が難しかったです。
――トップチームには同じポジションに髙萩洋次郎選手や橋本拳人選手、あるいは米本拓司選手がいました。そうした中で自身の持ち味はどこにあると考えていますか?
自分は攻撃的なところで良さが出ると思うので、東京のサッカーは、守備がベースにありながらも、攻撃の部分で違いを出さないと試合には絡めないのかなと感じました。今後は組み立てのところはもちろんですが、最後のフィニッシュの場面まで関われるようなプレーを増やしていきたいです。
――クラブだけでなく、U-19代表としてもメキシコ、年末はブラジルに遠征しました。影山監督のもとではどういった立ち位置でプレーしていますか?
影山監督にはディフェンスラインからボールを引き出して前にパスを供給していくところを求められているので、攻撃的な部分でチームを動かしていくのが自分の役割だと思っています。
――U-17ワールドカップでも当然世界と戦ってきましたが、今回改めて同年代のメキシコやブラジルと対戦して、当時と比べてどのように感じました?
世界の相手とやるというのは日本の選手とやるのとは全く違います。ただ、自分は代表で様々な経験を積んできていますし、海外の相手だから、ブラジルだからとかそういった思いはあまりないです。
――なるほど。長谷川監督とのコミュニケーションの中で印象的なことなどがあれば教えてください。
自分のストロングというか自分がどうなりたいかを明確に持って、特長のある選手にならないといけないという話はされました。自分の目指しているプレーヤー像をブラさずにこれからもやっていきたいとは思います。
久保建英との関係性
――平川選手にとって久保建英選手はどういった存在でしょう?
アカデミー時代から一緒にプレーしてきて代表活動とかもともにやってきたので、お互い刺激しあって成長できる関係だとは思います。プレーしている時はお互いの感覚も理解しあっていると思いますし、すごいやりやすさは感じます。
――ピッチ外でもどこか一緒に行ったりします?
行くこともあるというか以前行ったことはあります。
――オフの時はどんなことをしていますか?
あまり趣味はないのでその日によって違う感じです。サッカーを見たりはします。見る試合は海外のほうが多いですがJリーグも見ます。東京の試合はもちろん、年齢の近い選手が出る他チームの試合も少しずつ見たりしますね。
――海外だとどの辺のチームを見るのか気になります。見るのも試合全体、それとも個人に注目してですか?
国はバラバラなんですけど、強いチームというかビッグクラブの試合を中心に見ます。試合は全体的に見るのが一番多いですが、今調子が良い選手など個々に注目して見たりもしますね。
――国内外問わず好きな選手はいますか?目標にしているとかではなく単純に好きな選手で構わないですが。
小学生の頃からイニエスタ選手は好きです。昨年ヴィッセル神戸に来たので、試合を見て勉強というか普通に楽しませてもらっていますし、今シーズンはピッチ上でぜひ対戦してみたいです。
クラブと代表で活躍し、“その先”へ
――スパイクは「コパ」は履いています。スパイクには何を一番求めていますか?
自分はボールタッチへのこだわりが強いのでタッチの質など細かいところを意識して選んでいます。よって、足へのフィットとボールタッチの感覚ですね。
――となると、アッパーはやはりカンガルーなどの天然皮革のほうが好み?
人工でも合うスパイクがあるんですが、天然のほうが吸収される感じで自分は好きです。
――『コパ 19』の感触はどうでしたか?
動きやすさがあり、自分が一番大事にしているタッチとかも自分に合っているので、良いスパイクだと思います。
――今シーズンの目標を教えてください。
まずはクラブで試合に出場することが一番だと思うのでそこを意識しつつ、U-20のワールドカップは世界にアピールする絶好の機会でもあるので、しっかり選ばれて活躍することを短期的な目標にしてやっていきたいです。
――海外移籍は当然視野に入れていると。
海外にはチャレンジしたいので、活躍していくのがベストだと思いますし日本でしっかり結果を残していきたいと思います。
昨年の大みそか、自身のTwitterでもこのように綴った平川。厳しい一年ではあったが、だからこそ成長できた部分もあるに違いない。
FC東京はこのオフに米本が名古屋グランパスへ移籍。ここまでの補強を見ると平川にかかる期待の大きさが感じられ、その中で18歳のMFがどのようなプレーを見せてくれるか楽しみである。