文科省「児童生徒の学習評価の在り方について」報告書を公表

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文部科学省

文部科学省は2019年1月21日、「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」を取りまとめ公表した。中央教育審議会のワーキングループがこれまで行ってきた議論を整理し、その基本的な考え方や具体的な改善の方向性についてまとめた報告書となっている。

文部科学省中央教育審議会は、新学習指導要領の下での児童生徒の学習評価の在り方について検討を行うため、初等中等教育分科会教育課程部会にワーキンググループを設置。校長会などの関係団体のヒアリングに加え、パブリックコメントを実施するなど、教育研究者・民間の教育関係者、現役の高校生や大学生、新社会人などからも幅広く意見聴取を行い、議論を進めてきた。

このたび公表された「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」は、これまでの議論を整理し、その基本的な考え方や具体的な改善の方向性についてまとめたもの。「学習評価の基本的な枠組みと改善の方向性」という項目では、学習評価の基本的な枠組み、観点別学習状況の評価の改善、評価の方針等の児童生徒との共有、指導要録の改善などについて記している。

現在、各教科の評価については、学習状況を分析的に捉える「観点別学習状況の評価」と、これらを総括的に捉える「評定」の両方について、学習指導要領に定める目標に準拠した評価として実施。児童生徒ひとりひとりのよい点や可能性、進歩の状況については「個人内評価」として実施している。

評定については、各教科の観点別学習状況の評価を総括した数値を示すものあり、児童生徒や保護者にとっては学習状況を全般的に把握できる指標として捉えられている。また、高等学校の入学者選抜やAO・推薦入試を中心とした大学の入学者選抜、奨学金の審査など、広く利用されている。

一方で、評定が入学者選抜や奨学金の審査などに利用される場合、観点別学習状況の評価を評定として総括する際の観点ごとの重み付けが学校によって異なるため、児童生徒をきめ細かく評価するためには「観点別学習状況の評価」を活用することが重要との指摘がある。

これらを踏まえ、国においては、評定を引き続き指導要録上に位置付けることとしたうえで、指摘されている課題に留意しながら、観点別学習状況の評価と評定の双方の本来の役割が発揮されるようにすることが重要だとした。具体的には、今後発出する指導要録の通知において、様式などの工夫を含めた改善を行い、その趣旨を関係者にしっかりと周知していく必要があるという。

また、高等学校入学者選抜において、調査書に基づき中学校の学習評価を利用することは「学力検査を実施しない教科等の学力を把握することができる」「中学校の一定期間における学習評価を踏まえることで、当該生徒の学力をより正確・構成に把握することができる」などのメリットがある。一方で、中学生が入学時から常に内申点を意識した学校生活を送らざるを得なくなるなど、入学者選抜において調査書が大きな比重を占めていることで、中学校における学習評価やひいては学習活動に大きな影響を与えている可能性が指摘されている。

報告書では、高等学校およびその設置者に向けて、入学者選抜の質的改善を図るため、改めて入学者選抜の方針や選抜方法の組合せ、調査書の利用方法、学力検査の内容などについて見直し、改善を図るよう求めた。また、働き方改革の観点から、調査書の作成のために中学校の教職員に過重な負担がかかったり、生徒の主体的な学習活動に悪影響を及ぼしたりすることのないよう、高等学校入学者選抜のために必要な情報の整理や市町村教育委員会・中学校等との情報共有・連携を図ることが重要であるとしている。

さらに、地域のスポーツクラブにおける活動や各種の習い事、趣味に関する活動など、児童生徒が学校外で行う活動については、同じ資格であっても学校によって指導要録や調査書への記載の有無が異なる場合がある。生徒が在籍する学校から提出される調査書は、あくまでも学校における活動の記録であることに留意したうえで、入学者選抜を行う高等学校・大学等は、調査書などに過度に依存することなく、生徒の多面的・多角的な姿に考慮するよう、本人からの提出書類、申告などを通じて確認するなどの工夫を行うことを提言している。

そのほか、「学習評価の円滑な改善に向けた条件整備」にて、「社会に開かれた教育課程」の実現を目指す観点から、国において今回の学習評価の意義やその改善の趣旨について、パンフレットの作成などを通じて学校の教職員や保護者だけでなく、広く一般に周知することも重要との考えを示した。

「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」は、文部科学省Webサイトに掲載されている。

黄金崎綾乃