しりあがり寿presents 新春!(有)さるハゲロックフェスティバル'19【直前座談会】しりあがり寿×河井克夫×村山章×おオはしさつキ

どんどん老いて軽くなっていく

河井この前のクリスマス、午前中に時間が空いたんで教会に行ったんです。そこで聖体拝領をしてきました。

村山じゃあ、ウエハースとか食べたんだ。

おオはしワインがキリストの血で、ウエハースが肉なんですよね。

しりあがりあれっておいしいの?

河井おいしいとかそういうものじゃないですよ。

──そんなわけで今年もいよいよさるフェスの時期になりましたが、今日は恒例の直前座談会をお送りしたいと思います。

村山去年が10周年だったので、そこで何か区切りをつけようとも思っていたのですが、結局何の区切りもつかないまま、なし崩し的に11年目に突入します(笑)

しりあがりようするに区切りをつけるのも面倒だってことがわかったんです。

河井普通の会社なら儲からない事業はやめようってことになるんですが、そうした企業論理もないから、なんだかんだでやめられないんですね。

──いまの世の中にこんなわけのわからないイベントが続いているだけでも素晴らしいと思います。

河井以前(2013年)フェスのテーマが「不老不死」だった時がありましたが、イベントが続いているということ自体は不死と言えますが、はたして不老と言えるかどうかは微妙な問題ですね。

しりあがり確実に高齢化の波がきてますからね。今年は河井さんやサイモンガーさんなど50歳を迎える人が多いんです。

河井いろいろな場面で老いを感じるこの頃です。

しりあがり次回からさるフェスは50歳の人達に任せるっていうのはどう?

村山それだといつもと同じメンバーですよ!

河井次の世代というと、誰かいるのかな。

しりあがり 今の若い人達はバンドとかやらないでしょ? 一人でモショモショやる方が多い?

──確かに一人で全部やるミュージシャンは増えましたね。

しりあがりせーので演奏するのとかバカみたいなのかな。ドラムがカウント取ったりするのとか。

おオはし当初は内容をがらっと変えようって言ってましたよね。結果的にはほとんど変わってませんが。

しりあがり代わりに出てくれる人もいないし…。

おオはしでも今年は例年になく反響がいいんです。

村山ギリギリまで決まらなかったんですけど、蓋を開けてみれば豪華なラインナップになりましたね。

河井だいたい50代ですけどね。

しりあがり毎年変えよう変えようとはしてるんですが。

村山もう流れに抗うことをやめたんですか?

しりあがりいや、でも今年はのぐお(註:初代さるフェスメンバー)が出ないんだよ。これってすごい変化じゃない?

河井出ないことで評価されるのぐお…。

村山のぐおは沖縄に移住しましたからね。その前は鳥羽ジャングルが四国に移住したし。

しりあがりみんな地方にいってさるフェスを伝導しているんです。

おオはししてるかなあ?

河井イベントってもともとローカルなものだから、遠くの人はなかなか出づらくなりますね。

しりあがり老軽(ろうかる)ですね。どんどん老いて軽くなっていく。ウエハースみたいに(笑)

元号というものにちゃんと向き合うことが大事

──今年のフェスのテーマは「平成最後の新年会」という、今回ならではのテーマになっていますね。

村山このテーマを決めた時は、平成が今年で終わることが発表されて間もない頃だったから「平成最後」っていう言葉が新鮮だったんです。でもその後、同じような企画が世の中にあふれてしまって、いまや物珍しくもなんともなくなってしまった。でも、1月26日という遅めの新年会だから「平成最後の新年会」であることは間違いないと思います。

おオはしでもツイッターに「さるフェスの翌日も新年会だから朝までいて大丈夫かなあ」っていうツイートがありました。

村山なんと!我々は平成最後から2番目でしたか。

河井みんなやたらと「平成最後の」って言葉を使いますが、いまの時代、殊更に何かを記念することにあまり意味はないと思いますね。むしろ、何事もなく自ずと続いていくようなものに意味があるんじゃないかと。

村山「さるフェス10周年」とか「平成最後の」とか、うちもめちゃめちゃ記念してるじゃないですか!

河井だから毎回手を替え品を替えしてますが、実際のところ中身は同じだということなんです。

──確かに去年は10周年だから何かあるのかと思ったら、結局、カレーの種類が増えたぐらいでしたからね。

村山カレー推しということで、初めてカレーステージが出現しました。やってみたら予想以上に評判がよかったしやってみて面白かったので今年もやろうかなと。今年は「フードステージ」と称して、ステージ上でお客さんが食べ物を買いながら、その隅でこじんまり演奏しているのを見ることができます。

──フェイスステージに続き、また新たなステージが誕生したとも言えますね。

村山ステージが増えるのがさるフェスの歴史でもあります。新しいステージと言えば、今年は深海エリアでシンポジウムをやることになりました。

おオはし元号についてのトークです。

村山フライヤーで「新元号はさるフェスにおまかせ!!」と謳ってましたよね。批判をあびかねないことを言い切った感はありますね。

──おまかせ!!って、誰もまかせてないと思いますが…。

おオはし出演者とお客さんから募集して、その中から新元号を決めたいなと。

河井まあ5月までの暫定ですから。

村山暫定だから勝手に決めていいってもんでもないでしょう(笑)

おオはし怖い人に怒られないかしら。

河井ただね、新元号が発表されたら、先日の高輪ゲートウェイの時と同じように、必ずあれこれと言われると思うんです。だからさるフェスではその予告演習という位置づけで新元号を考えてみようと。つまり、まずはみんなが元号というものにちゃんと向き合うことが大事なんです。

──参加することが大事ってことですか。

河井いつも宮台先生が言ってるじゃないですか。任せて文句を言うだけの「お任せ民主主義」はだめだと。

おオはし今年のさるフェスに参加しておけば、新元号が発表された時に「私も考えたんだよ」って胸張って言えますしね。

村山何言ってんのあんた達って言われるだけだと思いますが…。

河井もし当日、陛下がいらしたらどうしましょう。やっぱりご招待ですか?

おオはし入場料はいただきます。有料イベントなので。

河井だって元号については一番の関係者ですよ!その人からお金取るんですか?

おオはし もちろん感謝して頂戴致しますよ。

河井じゃあ、それでもよかったら陛下も是非。

村山せめてさるフェスで決まった新元号を我々の総意として提出しましょう。

おオはしえ、どこに?

しりあがりツテとかあるんですか?

村山しりあがりさんは紫綬褒章をもらってるんだから知らない仲じゃないでしょう。

しりあがり いや、まぁそこは…

河井調子に乗るということの最たる例ですね。

飲み会ではっきり断らなかった人が初出演

──さるフェスはお馴染みの出演者が多いというイメージがありますが、実は初参加の人も結構いるんですよね。

おオはしそうですね。Curious*(キュリアス)とかワタナベイビー&ゴンドウトモヒコとか。下八(下田卓&ハッチハッチェル)も初出場です。意外な気もしますが。

──実際、さるフェスに出たい人って多いと思うんですが、どうやったら出れるのか気になります。

村山利益が出るフェスではないので、正直なところ、知り合いにしか頼めないんです。

河井我々のこの1年間の交友関係の成果がここに反映されるっていう面もありますね。

村山前に谷川俊太郎さんに出ていただいた時は、その時ちょうど、しりあがりさんが一緒に絵本を作った時でした。頼むなら今しかない!みたいな。

おオはし今年で言えば、画鋲(三宅弘城+宮藤官九郎+よーかいくん)がそうですね。しりあがりさんが一緒にお仕事されて。

村山ようするに飲み会でお願いした時にはっきり断られなかったとか、考えておくって言ってくれた人が結果的に出てくださるパターンが多い(笑)

しりあがり酒の席ででもなければ、こんなこととても頼めないよ。

河井あと最近の傾向ですが、出演者の枠の中にいろいろなコーナーができて、その中で我々が把握してない人が出演するという現象が見られます。今年で言えば恥御殿の歌謡ショウとか。

村山パッケージショーみたいな形でどんどんコーナーが独立している。

おオはし数年前の深海エリアみたい。

村山そう。ボクデスが深海エリアでカレー寿司なるものを勝手に売り出したのが最初です。本来なら出禁になってもおかしくないんですが、それがいまや深海エリアの責任者ですから。

──当時、クーデターって言われてましたよね。

河井そんなにやりたいんだったら、もう全部任ようってことになったんです。

──ところで今年の課題曲は何ですか?

村山今年は満を持しての「第九」です。天野天街さんの提案で。

おオはし前回もそれにしたかったようなんですが、去年は「ヘイ・ジュード」でしたから。

村山天野さん的には納得してなかったんでしょうね。

しりあがり忸怩たるものが…でも「ヘイ・ジュード」は10回目しかできないからなあ。

村山まあ、第九がどのように劇団さるフェスに取り入れられるのか乞うご期待です。

河井あと今年の売りはメダルです。さよなら平成記念メダル。

おオはし当日販売もしますが、プレミアムチケットの方は限定デザインとなってます。

河井造幣局で作ってもらおうとしたら大変な値段がするので缶バッジになりました。

しりあがりそれ、メダルじゃないじゃん!

村山メダル風バッジです。

老いても楽しめるカッコいいロックフェスとは何なのか?

──では最後に、しりあがりさんから今回の意気込みを一言お願いします。

しりあがり今年も豪華な出演者が盛りだくさんで、またすごい光景が見られると思います。実は去年(10周年スペシャル)で、さるフェスはやめどきを失っているから、これからどうなっていくのか誰にもわからないんです。高齢化にも対応しないといけないし。要するに自分達の未来のロックフェスの形を探っていくという意味合いもありますね。老いても楽しめるカッコいいロックフェスとは何なのか? それを実現する使命みたいなものが。

おオはしそして来年はいよいよ2020年。オリンピックイヤーですよ。

しりあがりということは「さるフェスオリンピック」だね。

村山また時事ネタですか・・・

しりあがりこれからはスポーツ。俺たちはロックだけじゃないって所も見せないと。そうだ、ロフトで運動会やろう!

村山老化防止のためにも身体を使えってこと?

しりあがりいや、身体を使うのもしんどいからさ。「走らない高飛び」とか「3メートル走」とか。あんまり走らないやつにしよう(笑)

おオはしテーマ曲は「天国と地獄」がいいな。

しりあがり五輪のマークを勝手に使うと怒られそうだから六輪マークにするとか。真田家の六文銭みたいな。ほら、六文銭って三途の川の渡し賃だから、高齢化にぴったりじゃない?

おオはしそういえば六文銭ってグループありますよね?

河井小室等さんが六文銭を再結成されたそうなので、是非出て欲しいですね。

しりあがり「さるハゲフォークジャンボリー」だ。

──オリンピックとフォークジャンボリーってますます混沌としてきましたが、まずは今年のさるフェスが盛り上がるといいですね。

しりあがりでも11周年ってなんか中途半端な数字なんだよなあ。とはいえ今年は元号が決まる大事な年だから、みんなでいい新元号を考えよう!

村山だからって絶対に採用してもらえませんけどね(笑)

(左から)しりあがり寿、村山章、おオはしさつキ、河井克夫

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