このチームで再びJ1へ キーマン2人、そろって残留

 昨季、J1リーグ戦全34試合に出場したV・ファーレン長崎の主力、澤田崇(27)と翁長聖(23)の2人が、そろってチームに残留した。「このチームで、もう一度J1を戦いたい」。ハードワークを代名詞にするV長崎の中でも、際立つ運動量を見せていたコンビが、再びチームを国内最高峰リーグへ導く。

 昨年12月のシーズン終了後、契約更新の発表は、澤田が誰よりも早かったのに対し、翁長は沖縄キャンプイン直前。残留決定のタイミングは対照的だったが、他の主力がこぞって移籍する中での2人の残留は、ファンにとってうれしい誤算となった。

 前所属の清水で出場機会に恵まれなかった澤田は、V長崎で一気に才能が開花。1・5列目の位置で変幻自在のドリブルを見せ、攻守のスイッチ役としても替えが利かない存在になっている。昨季は3ゴール5アシスト。警告ゼロでチーム初のJリーグフェアプレー個人賞も獲得した。

 「前を向くプレーはJ1でもやれる自信がついた。あとは決めるべきときに決める勝負強さ」。さらに成長するための課題は明確に見えている。

 翁長は昨季のチームで大きく評価を上げた選手の一人。不動の左サイドとして、走行距離、スプリント回数で毎試合のようにリーグトップ級の数字をたたき出した。多数のクラブが関心を示し、移籍金も跳ね上がる中で「絶対に負けたくないという思いが強くて」残留を決意した。

 今季はより攻撃的なポジションを任される可能性がある。新戦力も加わり、左サイドはJ2随一の陣容。昨季は決定的な場面で得点できないシーンもあっただけに「チームを勝たせられるような、結果を出せる選手になりたい」という思いはひときわ強い。

 2017年加入、走力が持ち味、シャイな性格-。共通点の多い2人は中大の先輩後輩という間柄でもある。プライベートで話すことは少ないらしいが、3学年下の翁長が「1年のときの4年なのでスーパースター」と言えば、澤田も「ここに残ってくれると聞いてうれしかった。頼もしい存在」と認め合う関係だ。そんな2人が昨季以上に輝きを放てば、チーム全体のレベルアップという相乗効果も生まれるはずだ。

攻守のスイッチ役としてチームに欠かせない澤田(左)と、走行距離やスプリント回数でJ1トップ級の数字を記録した翁長=沖縄県西原町民陸上競技場

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