マイケル・ブーブレ『(love)』 さまざまな愛の形を歌った最高に美しい作品

マイケル・ブーブレ『(love)』

 タイトルを、文字(love)ではなくハートマークで表したマイケルの新作は、この世の全ての愛の形を歌った最高に美しいアルバムです。2016年、当時3歳の長男ノア君が小児肝臓癌と診断され、以降全ての音楽活動を休止した彼。一時は引退さえ囁かれたのですが幸い病状が好転、楽観できる状況となり昨年活動を再開しました。そして約2年ぶりに発表した本作は、最愛の子との闘病の中で父親として夫婦として家族として見いだした真の愛をテーマにしたものだと言えます。

 ここで歌われる曲は単なる恋愛の曲に留まらず人がそれぞれの人生で経験する様々な愛の形を歌ったもの。オリジナル曲の「フォエヴァー・ナウ」ではわが子と初めて会った日からその成長を愛しむ父親としての愛を、ジャンルを越えて選ばれたスタンダード・ナンバーで恋のときめき、恋の喜び、恋の予感、永遠の愛などさまざまな恋愛の心情を歌います。中でも“あなたに出会い恋に落ちるのは運命づけられていたのだ”と熱唱する「ホエア・オア・ホエン」は聴き物です。

(ワーナーミュージック・2200円+税)=北澤孝

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