世界同時「脱プラ」衝撃⑤世界30社、15億ドル投資へ

海洋プラスチックごみ問題の解決を目指し、化学、消費財、小売業界などグローバル企業約30社による国際組織Alliance to End Plastic Waste(AEPW、プラスチック廃棄物を除去するためのアライアンス)が1月16日、英ロンドンで発足した。日本企業は三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学の3社が設立メンバーで参加した。今後5年間で、プラごみ問題解決に総額15億ドル(約1600億円)を投資し、廃プラ再生を含む循環経済の実現を進めていく考えだ。(オルタナ編集部=堀理雄)

同アライアンスの参加企業は、独ヘンケルや米エクソンモービル、南アフリカのサソールなど、欧米をはじめアジア、アフリカ、中東などに及ぶ。プラスチックの製造、使用、販売、加工、収集、リサイクルする企業が参加する非営利組織だ。

米国の環境保護団体Ocean Conservancyの調査によると、海洋プラごみの約8割は陸上のごみとして始まり、その大半は河川を通じて海に運ばれるとされている。アライアンスは、製造から販売、消費、再利用を含むバリューチェーンを通じて循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現を目指し、プラごみを減らす包括的な取り組みを進める。

「持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD:持続可能な開発を目指す企業約200社のCEO連合体)」などとも連携しながら、今後5年間でプラごみ問題解決に向け15億ドルの投資目標を定めた。主に以下の4つの分野に力を入れる考えだ。

・プラスチックごみの収集・管理と、リサイクルを促進するためのインフラ開発
・プラスチックのリサイクルや回収を容易にし、使用済プラスチックから価値をつくり出す新技術の開発
・政府や企業、地域社会にプラスチック問題について行動を促すための教育支援や対話の実施
・河川などプラスチックがごみ蓄積し、陸上から海洋に流出する場所の浄化・清掃

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)CEOで、AEPW会長のデービッド・テイラー氏は「環境におけるプラスチック廃棄物除去のためのこれまでで最も包括的な取り組み。すべての地域や部門から大小すべての企業に参加を呼び掛ける」と述べている。

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