日本フィランソロピー協会「誕生日寄付」事業を開始

「誕生日寄付」事業について説明する日本フィランソロピー協会の髙橋陽子理事長(左)と同協会の村木厚子理事

公益社団法人日本フィランソロピー協会は1月22日、「誕生日寄付」事業を同月25日から開始すると発表した。個人の寄付文化を醸成し、子どもたちの今を支え、未来に投資することが目的だ。公式サイトに誕生日とメールアドレスなどの必要事項を登録すると、誕生日前に寄付を呼び掛けるメールが配信される仕組みとなっている。同協会は年間目標として、900万円を集めたいとしている。(オルタナ編集部=中島洋樹)

同協会は、少子高齢化の進行で人口減少にともない税収が減少する日本の財政を考慮すると、社会問題を解決するため寄付による貢献が不可欠であるとの見解を示している。また、近年の経済偏重の価値観により、「命より経済が大事である」と見なす風潮が、社会のひずみを生み出す要因となっていると主張する。社会のひずみの1例として、子どもの貧困問題を取り上げ、スタートの時点から子どもが貧困によるハンデを背負うことは、子どものこれからの人生にも大きな影響を及ぼし、非行や犯罪に手を染める危険性が高いと指摘する。

同協会の髙橋陽子理事長は、博報堂研究開発局が行った「2017年生活者の社会意識調査」結果から、「社会のために役立ちたいと考えている人は約7割いるが、社会貢献活動を普段から行っている人は約2割にとどまっている」と説明した。今回開始する「誕生日寄付」事業で、自分が命を授かった日である誕生日に、命に感謝し、それを寄付という形で表す習慣を、社会貢献活動に興味を持ちながら、まだ行っていない約5割の人たちに訴えていきたいという。

同協会の村木厚子理事は、自身の厚生労働事務次官時代の経験から、「行政の対応だけでは、どうしてもすべての問題をカバーすることは難しい。今回の「誕生日寄付」事業開始で、子どもの貧困問題解決のきっかけになれば」と期待を述べた。

公式サイトに自身の誕生日、メールアドレスなど必要事項を登録する。その後、誕生日前に寄付を呼びかけるメールが配信される。公式サイトからの寄付は1000円から受け付ける。30万円を超える寄付はサイトではなく直接協会事務局が受け付ける。

寄付者は、1)「生きるを支える」カテゴリ、2)「学びを支える」カテゴリ、3)「外国人を支える」カテゴリの3つの中から1つを選択する。カテゴリの中には2団体ずつ寄付先があり、自身の選択したカテゴリの中からどちらかの団体に寄付が行われる。

本事業の賛同者には、小説家で天台宗僧の瀬戸内寂聴氏、サッカーJリーグ初代チェアマンの川渕三郎氏、シンガーソングライターの加藤登紀子氏などが名を連ねている。

髙橋理事長は、「誕生日寄付」事業について、「3つのカテゴリで各300万円、計900万円達成を年間目標としたい」と力を込めた。
今後はスマートフォンからの受付対応の実現や、サイトの英語版を設置して外国の方からも「誕生日寄付」を受け付けたいとしている。

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