エアコンは連続運転が省エネ? 意外と知らない省エネ行動 ―ユーザー版2018年夏季号から

 東日本大震災で加速した感のある「省エネルギー」。主にエネルギーの無駄をなくすという目的で、その多くは「こまめに電源を切る」といった内容となっている。

 しかし、こうした手段が本当に役立っているのか、正しく認識している人は稀。厳しい見方をすれば、省エネを〝行っている〟気になっているだけという指摘もある。

 例えば、エアコンは起動時の方が安定して運転している時よりも電力を消費するのは意外に知られていない。だから、短い時間だけ外出する(コンビニでの買い物など)際には、連続運転の方が消費電力が少ないケースもある。

 電力中央研究所のレポートによると、連続運転の消費電力は室温安定後はほぼ100ワットで推移するのに対し、間欠運転の場合には運転再開時に一時的に500ワット程度まで伸びた。

 170分間の積算電力量の比較では、間欠運転100に対し連続運転は72にとどまり、約3割の省エネとなった。

照明はこまめな操作が効果的

 反面、こまめにON/OFFをした方がいいのは照明器具。調光機能付きタイプは、明るさを最大にしないように調節。光源も、白熱電球や蛍光ランプから電気使用量が少ないLEDに替えることで、一層の節約になる。

 省エネ努力が、電気代の削減につながっていなければ、さらに努力をしなければならないと強迫観念に駆られ、暑くてもエアコンを動かさず室内で熱中症になる。本来は「快適な生活を維持した上で不要なエネルギーを減らす」のが省エネの目的だったはずで、本末転倒といっても過言ではない。

 一般家庭のエアコンの場合、省エネのカギを握るのが室外機。熱交換で冷気や暖気を作る仕組みなので、夏なら温風、冬には冷風の排出が重要になる。そのため、夏場は風の通りを邪魔しないようにしたり日影になるような工夫も効果的となる。

フィルター掃除も5%の節電に

 エアコンの冷風を室内で効率良く循環させるのに、扇風機を併用するのはよく知られたところ。加えて、効率良く運転できるように室内機のフィルターを、2週間に1回程度掃除するだけで約5%の節電になるという。

 何もしない28℃設定より、省エネの工夫を施した上での26℃設定の方が必要な電力は少なくてすむことも。ガマンせず、効率的な省エネを。

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