菓子箱に朝鮮通信使の絵巻 世界記憶遺産 登録を記念 「対馬の歴史、文化 発信したい」 渡辺菓子舗

菓子箱を披露する渡辺さん=対馬市、渡辺菓子舗

 江戸時代の外交資料「朝鮮通信使に関する記録」が「ユネスコ世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録されたことを記念し、長崎県対馬市厳原町桟原の老舗かすまき店、渡辺菓子舗が朝鮮通信使の絵巻をあしらった菓子箱を制作した。大小2種類があり、いずれも地元学芸員が日本語と韓国語、英語で解説文を添えている。店主の渡辺圭二さん(49)は「かすまきと一緒に、対馬の歴史と文化を国内外に発信したい」と意気込んでいる。
 朝鮮通信使は、朝鮮国王が徳川将軍家に派遣した外交使節団。豊臣秀吉の朝鮮出兵で断絶した国交を回復しようと対馬藩の働き掛けで実現し、1607年から1811年まで計12回送られた。関連資料は日韓の民間団体や文化団体の共同申請を受け、2017年、「ユネスコ世界の記憶」に登録された。
 菓子箱にプリントした絵は、1811(文化8)年に対馬で国書を交換した通信使の行列を描いた「朝鮮国信使絵巻(文化度)」=県対馬歴史民俗資料館所蔵=をあしらった。側面には、同館学芸員の解説文が添えられ、背面には市博物館準備室学芸員による韓国語と英語訳が記されている。
 渡辺さんが昨夏、「対馬の旅の思い出となる菓子箱が作れないか」と同資料館学芸員に相談。和紙を張って質感を高めるなど工夫を凝らした。この菓子箱を使ったかすまきは、同店で販売しているほか、地方発送も応じている。

朝鮮通信使の絵巻をあしらった菓子箱

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