元徴用工被爆者へ手紙 長崎市長 手帳交付時におわび

 韓国人元徴用工の男性3人への被爆者健康手帳交付を長崎市に命じた長崎地裁判決を受け、市は27~29日に韓国で3人へ手帳を交付する際、裁判に伴い交付まで長期間を要したことをわびる田上富久市長の手紙も届ける。田上市長が24日の定例会見で明らかにした。

 3人は戦時中に三菱重工業長崎造船所に徴用され、原爆に遭ったとして手帳交付を申請。証人や証拠資料がないため市に却下され、2016年に提訴した。今月8日の地裁判決は、3人の証言は信用できるとして市に手帳交付を命じ、市が控訴せず23日に確定した。

 長崎市職員が訪韓し3人に手帳を直接手渡す。田上市長は「それぞれ被爆後は苦労があったと思う。裁判で交付まで長く時間がかかり、市としても心を痛めている」と述べ、こうした思いを手紙にして届けるとした。

 一方、審査の在り方については「これまでもいろんな調査をしてきた。ただ結論を出すのが難しいケースもあり、裁判になるのはじくじたるものがある。何らか審査を補強できる考え方がないか検討を続けたい」と語った。

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