社説:高齢者の犯罪 孤立防ぐ仕組みが必要

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 何度も罪を犯し、刑務所に繰り返し入ってしまう高齢者がいる。出所した後の彼らを受け入れる社会の仕組みづくりが急務になっている。

 法務省が公表した昨年の犯罪白書によると、2017年に刑法犯で摘発された65歳以上の高齢者の割合が、8年連続で過去最高を更新した。

 70歳以上の割合は20年前に比べ7倍の約15%になり、白書は「顕著に上昇した」と強調している。

 罪名では、窃盗が65~69歳で8割、70歳以上では9割近くに達する。特化した対策が必要だ。

 65歳以上の高齢受刑者は2278人で前年より8・8%減少したが、64歳以下の人に比べ、繰り返し罪を犯して再入所する人の割合が高くなっている。

 刑務所に入った人のうち高齢でない男性で6回以上入所した人の割合は14・4%だったが、65歳以上は42・5%だった。女性でも非高齢者は3・4%だが高齢女性は11・5%だった。

 全体の犯罪認知件数は15年連続で減ったが、高齢者の再犯率は際だって高いことに、改めて注目したい。

 その理由の一端は、次の数字からもうかがえる。

 17年に満期出所した人に受け入れ先を申告させたところ、自宅や親族、福祉施設などのいずれでもなく「その他」を選んだ割合が、高齢男性で44%、高齢女性は17%だった。

 刑務所を出所しても、受け入れてくれる家族や場所がない人が多いことが分かる。とりわけ男性は深刻だ。

 住まいや仕事がないため犯罪を繰り返してしまう。そのたびに服役する期間が長びき、社会からの孤立をさらに深める結果になっている。

 白書によると、高齢の受刑者の6人に1人が認知症の疑いがあるという。刑務所の現状を表す数字だろう。

 こうした人々の再犯をどう防ぐのか。刑事司法だけでなく、社会福祉や医療など幅広い機関や団体の知見も動員する必要がある。

 再犯防止推進法が2年前に施行され、法務省は今回、「再犯防止推進白書」をまとめた。

 出所者の就労や住居の確保を支援する施設や団体も詳細に紹介している。

 出所した高齢者を福祉につなぐなど、全国に広がってほしい先進的な取り組みがある。国は資金面のバックアップを進めてほしい。