走ること「楽しくはない」ギネス公認最高齢走者が遺した言葉

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100メートルを全力で走る宮﨑秀吉さん(2015年9月23日撮影、京都市右京区・西京極補助競技場)

 「世界最高齢の陸上短距離競技者」としてギネス世界記録にも認定された宮﨑秀吉(みやざき・ひできち)さんが23日、脳出血のため京都市内で死去した。108歳だった。

 90歳を過ぎてから本格的に陸上を始めた宮﨑さん。衰えることのない挑戦への意欲が、その体を突き動かし続けた。

 2015年9月、105歳の誕生日の翌日に京都で行われた記録会で100メートルを42秒22で走り年代別の世界記録を樹立。ギネスにも「最高齢のスプリンター」として認定された。

 この節目で陸上に区切りを付けることも考えていたそうだが、「直前の練習では36秒で走れた。あまりにも悪い記録なのでやめる訳にはいかない」と気持ちは再挑戦へ。大会や記録会で記録更新に挑み続けた。

 「走ることは楽しいですか」と尋ねたことがある。意外にも「試合も練習も楽しくはないよ」との答え。「でもね、100歳を超えた自分が走っている姿を見て励みに思ってくれる人がいたらそれでいい」と率直な思いを聞いた。

 挑んだのは陸上だけではなかった。定年後に始めた囲碁は100歳で初段、103歳で3段を取った。長生きの秘訣(ひけつ)を問うと必ず、「体」「心」「経済」の3点の健康維持を挙げた。普段は自宅近くの公園で足腰を鍛え、冬場も自宅で一日3回の体操と足踏みを欠かさなかった。食事は常に腹八分目。何でも30回かんでから胃に送った。

 「頭を空っぽにしてストレスをためない」ことを信条に暮らし、耳が遠くなっても「(家族などの)雑音が聞こえなくていい」とあっけらかんと語った。経済面の健康は「借金はしないこと。何でも現金で」。実直な人間性が言葉に表れていた。