「担任のいじめへの認知力低かった」 茅ケ崎の児童不登校

 神奈川県茅ケ崎市立小学校に通っていた男子児童(11)が同級生からのいじめが原因で2年以上にわたり不登校になった問題で、市教育委員会は25日、庁内組織の再発防止検討会議(会長・中山早恵子教育推進部長)が策定した報告書を公表した。担任教諭のいじめに対する認識が甘く、学校内での情報共有ができなかったとして、再発防止に向け教科担任制の拡大やスクールソーシャルワーカーの増員などを打ち出している。

 報告書では、今回の問題は▽担任の女性教諭のいじめに対する認知力が低かった▽学校内での情報共有ができなかった▽教育委員会も文部科学省のガイドラインに沿った対応ができず、学校での調査に第三者が加わっていなかった-ことなどを解決すべき課題として挙げた。

 これらの課題を解消するための具体策として、小学校での教科担任制を広げ、複数の目で児童の様子を確認できる体制を充実する。昨年7月からはスクールソーシャルワーカーを1人から3人に増やし、いじめの未然防止や早期対応を図っている。1月からは新たに弁護士1人を配置し、いじめの事案に携わっているという。

 校内の情報共有については、入手した情報を誰に伝達するのか具体的に定めていない学校も多いとして、市や学校のいじめ防止基本方針を早急に改定する必要性を指摘している。

 いじめが発覚して3年弱。会見した神原聡教育長は「対応が長期化したことは私も重い責任を感じている。いじめを受けた児童やその保護者の気持ちに寄り添え切れず、信頼関係が築けなかった。二度とこうした事態が起きないよう、強い決意で再スタートを図りたい」と述べた。市教委としての処分は現在、検討中という。

 再発防止検討会議は市教委職員を中心に13人で構成し、昨年4月から12月にかけて9回開催。女性教諭や学校、教育委員会の対応を検証するとともに、昨年2月の第三者委員会の提言を踏まえて防止策を検討してきた。

会見の冒頭、頭を下げる茅ケ崎市教育委員会の神原教育長(中央)ら=茅ケ崎市役所

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