死亡女性は窒息死 横須賀の高齢者施設、県警が殺人で捜査

 横須賀市の老人ホームで24日、入所者の女性が死亡した事件で、県警は25日、司法解剖の結果、死因が首を絞められたことによる窒息だったと明らかにし、殺人事件として捜査を始めた。24日夜には女性の口座から現金を無断で引き出したとして、施設職員を窃盗容疑で逮捕しており、女性が死亡した経緯との関連も調べる。

 殺害されたのは、同市大矢部1丁目の高齢者施設に入所する無職女性(89)。女性が死亡前日の23日、キャッシュカードがなくなり口座から勝手に現金が引き出されたとして、県警に相談していたことも判明した。

 県警は24日夜、窃盗容疑で同施設職員の男(31)=同市武4丁目=を逮捕。逮捕容疑は、5日午後8時40分ごろ、同市内の信用金庫で、女性のカードを使って現金自動預払機(ATM)から現金15万円を引き出して盗んだ、としている。ATMの防犯カメラ映像などから特定した。

 県警によると、「キャッシュカードを無断で持ち出し、口座から貯金を引き出した」と容疑を認めている。女性の口座からは昨年12月21日~1月19日、9回にわたって計約125万円の不審な引き出しがあり、県警は同容疑者の関与を調べる。

 捜査関係者によると、女性は施設3階の一室に1人で暮らしていた。24日朝に食堂に姿を見せなかったため、職員がこの部屋を確認したところ、座椅子の上で足を伸ばし、意識がない女性を発見した。部屋は未施錠だった。

 女性について、施設関係者は「気さくで明るい人柄だった」と話した。知人女性は「おしゃれで若々しい人だった。子どもたちに外国に連れていってもらった時のことを楽しそうに話していたのが印象に残っている」と振り返った。

入所者の女性が死亡した老人ホーム=横須賀市大矢部

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