メクル第339号 節分ってどんな行事?

 2月3日は「節分」です。「鬼(おに)は外、福は内」。大きな声を出しながら、豆まきをしたことがある人も多いのではないでしょうか。ところで節分ってどんな行事なのでしょう。調べてみました。

 季節を分ける 

 節分には「季節を分ける」とか「分かれ目」という意味があります。長崎歴史文化博物館学芸グループの主任(しゅにん)研究員、出口幹子(でぐちみきこ)さん(41)によると、もともとは立春、立夏、立秋、立冬の前日のことをすべて「節分」と呼(よ)んでいたそうです。年4回あったんですね。
 旧暦(きゅうれき)では「立春」が1年の始まりと考えられていたため、次第に、立春前の節分が定着していきました。邪気(じゃき)をはらって福をよびこむ『追儺(ついな)』という行事が中国から伝わり、豆まきなどの風習が全国の神社などに広まりました。
 みなさんは豆まきをするとき、どんな願いをこめますか。長崎市江戸(えど)町の学童保育(ほいく)「星座(せいざ)クラブ」でインタビューしました。

◎長崎で古くから食べられてきた節分料理

 節分の日、長崎では古くから節分料理が食べられてきました。退治(たいじ)した赤鬼(おに)の手に見立てた「紅(あか)大根」や、漢字で「金頭」と書くことから「お金がたまる」という縁起物(えんぎもの)の魚「カナガシラ」の煮(に)付けなど。いい1年になるよう、縁起をかついでいたんですね。長崎歴史文化博物館(長崎市立山1丁目)では2月17日まで、常設展示(じょうせつてんじ)室内の町屋で節分料理を食品サンプルを使って紹介(しょうかい)しています。
 節分料理に使われる食材のうち、紅大根とカナガシラについて調査(ちょうさ)しました。

■ 実はカブ
 紅大根は、長崎市で昔から受けつがれてきた「伝統(でんとう)野菜」の一つ。ダイコンに似(に)ているから紅大根という名前がついていますが、実はカブの一種です。長崎市農業センターでは紅大根のほか、唐人菜(とうじんな)、赤カブ、辻田(つじた)白菜などの伝統野菜を育て、子どもたちに収穫(しゅうかく)体験など学びの場を提供(ていきょう)しています。センター職員(しょくいん)の本田幹雄(ほんだみきお)さん(66)は「節分の日はもちろん、それ以外の日にも食べてほしいですね」と話していました。

「紅大根、食べてみんね」と語る本田さん(右)ら=長崎市戸石町、市農業センター

■ 「ガッツ」
 長崎市水産農林政策(せいさく)課によると、「カナガシラ」という名前は、頭が大きくてカナヅチのような形をしていることに由来。別名「ガッツ」とも呼(よ)ばれています。全長15センチ程度(ていど)。大きいものは30センチくらいあるそうです。冬が旬(しゅん)で、塩焼きや煮付け、鍋(なべ)などにぴったり。水深約200メートルの海底に生息しています。長崎魚市場(長崎市京泊(きょうどまり)3丁目)では、年間約4万5千キロが水あげされています(2017年、同課調べ)。

節分に縁起物として食べる風習があるカナガシラ=2016年1月、長崎魚市場

 ◆長崎歴史文化博物館の節分イベント ▽「はくぶつかんのおはなし会」=2月2日午前10時半~11時半。節分に関する話を聞き、鬼(おに)のお面を作る。事前予約が必要▽「奉行所(ぶぎょうしょ)節分豆まき」=2月3日午後4時半~5時。同館(電095・818・8366)。

長崎歴史文化博物館に展示中の節分料理

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