社説(1/27):拡大するeスポーツ/課題を克服し健全な発展を

©株式会社河北新報社

 コンピューターゲームなどで対戦する「eスポーツ」が、日本でもこのところ認知度を高めている。世界の動きに比べると後発と言えるが、ビジネスとしての可能性は大きい。課題を克服しながら、健全な発展を期待したい。

 「eスポーツ」は「エレクトロニック・スポーツ」の略。オンライン上や大きな会場などで観衆を集めて対戦し、勝敗を競う。ゲームの種類はサッカー、野球などのスポーツもあれば、戦闘や戦略、格闘、パズル、カードなどさまざまだ。一対一の形式もあれば、チーム戦もある。

 総務省が昨年まとめた報告書によると、2017年の世界の市場規模は約700億円で、対戦などの視聴人口は3億3500万人。今後も飛躍的な拡大が期待されている。

 世界では1990年代から活発化している。総額が億単位の高額賞金の大会が各地で開催され、「プロ」が誕生。専用の施設もある。

 昨年のアジア大会では公開競技として開催され、次回の22年大会では正式競技となる。将来は「オリンピックに採用を」という声も上がる。

 本来、「スポーツ」の語源には「非日常の遊び」などの意味がある。世界では、eスポーツもその意味では立派なスポーツで、囲碁やチェスなども「マインドスポーツ」とされる。

 日本では「スポーツは体を動かすもの」という意識が強いためか、ゲームはあくまで「遊び」と区別されてきた経緯がある。時事通信社の昨年の世論調査でも、eスポーツの日本での普及について、肯定、否定とも3割程度と拮抗(きっこう)。否定意見の約6割が「ゲームをスポーツと思えない」と答えている。

 それでも18年に、競技の統括団体として日本eスポーツ連合(JeSU)が発足し、プロの認定も始まった。高校生の全国選手権が初開催され、新語・流行語大賞でトップテン入りした。

 ことしの茨城国体で、文化プログラムとしての開催が決まっているほか、東京都が大会開催を表明。山形県に連合の支部が発足するなど、東北でも地域振興への活用も含め、期待が高まっている。

 普及には、国民的な認知と理解だけでなく、法的な課題もある。高額賞金大会を開催しようとした場合、刑法や景品表示法などとの調整が問題になる。

 日本はゲーム産業が盛んと思われがちだが、家庭用ゲーム機やスマホゲームが中心。世界的なeスポーツの題材となっているゲームはあまり多くはないという。各メーカーにとっても、魅力的なゲームの開発が待たれる。

 一方で、世界保健機関(WHO)は昨年、「ゲーム障害」を新たな疾病として認定した。eスポーツの健全な普及と発展には、関係団体が連携しながら、こうした課題を克服していくことが不可欠だ。