<安住の灯>みなし仮設 古里に戻らぬ状況招く/米野史健氏に聞く

©株式会社河北新報社

[めの・ふみたけ]東京工大大学院博士課程修了。国交省国土技術政策総合研究所の研究官などを経て、2015年4月から現職。専門は住宅政策、都市計画。千葉県出身。48歳。

 東日本大震災では、7年10カ月が経過した今もプレハブ仮設住宅が解消できず、仮設間の転居を強いられた被災者もいる。本格的に運用が広がった民間賃貸住宅などの「みなし仮設」は、沿岸部から内陸への人口流出を加速させた。仮設暮らしが長期化する陸前高田市の状況や、仮設入居に伴う居住地移動の実態をそれぞれ継続調査する2人に研究報告の概要と、今後の課題などを聞いた。(「震災と住まい」取材班)

◎国立研究開発法人建築研究所 米野史健上席研究員に聞く

 みなし仮設を選択した入居者は、建設型仮設に身を寄せた被災者よりも住宅再建が早く、他の市町村などに移動した場合は戻らない傾向が明らかになった。長い時間がかかる復興を待てず、早い段階から別の場所で再建に踏み切った側面もあるのではないか。

 「世帯」の観点から見れば、早期に安定した暮らしを得られる利点は大きい。賃貸住宅などを自ら確保できたのは行動力や親族知人らの相談先があり、家賃を払える見込みがあった世帯で、住宅再建も早かった。

 一方、「地域」を考えれば被災した沿岸部や離島、半島部からの人口流出につながり、古里に戻って来ない状況をつくり出した。中長期的に懸念されていた市街地や大都市への人口移動を、震災による被害とみなし仮設の供給が急速に進めてしまったとも言える。

 高齢者や障害者ら要配慮者の多くは建設型仮設に入らざるを得ず、いまだに仮設団地が解消されない現実がある。行政による訪問サポートなどの活動に加え、より早期に住宅再建の個別支援を始めていれば退去の促進など状況は違っていたかもしれないと感じる。

 今後の供給は地域や被災者の特性、復興の方向性などを踏まえ、建設型と借り上げ型のバランスを考慮する必要がある。民間賃貸住宅が少ない地域は建設型の整備も重要であり、質を高めて住環境を向上させたり、生活を支える施設を併せて整備したりするなどの対策が必要になるだろう。

 被災市町村外のみなし仮設に転出せざるを得ない場合でも、情報提供や生活再建の支援を適切に実施するなど戻ってきてもらうアプローチが求められる。応急的住まいの供給策として空き家の活用などを促す手があるかもしれない。

 災害救助法による公的サポートの運用は広がっているが、仮設の在り方など課題が出ているのも事実。震災後の実態を調査分析し、改善に向けた議論を重ねていかなければならない。