長崎大学病院で出火 通報怠る 改修作業中、消防が指導

 昨年11月、長崎市坂本1丁目の長崎大学病院の改修工事現場で溶接作業中、出火して配管などが燃えたにもかかわらず、長崎大側が消防機関への通報を怠っていたことが1月21日、分かった。内部の指摘で11日後に長崎市北消防署に連絡したが、迅速な通報が必要だったとして、長崎市北消防署は消防法に基づき指導した。

 長崎大を巡っては、近く建設に着手する感染症研究施設「バイオセーフティーレベル(BSL)4」で、ウイルスの漏出事故時などの情報公開の在り方に周辺住民が不安を募らせており、今回の対応は大学側と住民らの定期的な協議にも影響を与えそうだ。

 長崎市消防局や長崎大によると、昨年11月24日午後2時ごろ、14階建ての同病院病棟・診療棟3階の総合周産期母子医療センターの改修現場で、業者の作業員が壁の溶接作業中に出火。壁内部にあった樹脂製の配管(長さ約2メートル)や断熱材を覆っていたビニールの膜(縦約2メートル、横約50センチ)が燃えたり溶けたりし、現場に置いていたバケツの水で作業員が消火したという。

 煙が天井裏などを通じて廊下にも漏れた。その横には人工透析の部屋があり患者が2人いたが、室内に煙が入らなかったため避難はさせなかったという。その後、25日にかけて吸引器で煙を取り除いた。

 長崎大は消防に通報しなかった理由について「業者が通報していると思ったが、数日後にしていないことが判明した」と説明。だがその後も連絡しておらず、「火は消えて煙が出た程度だったので、消防に通報する必要はないと思った」といい、内部の指摘を受け12月5日に連絡したという。長崎大は「対応は不適切で認識が甘かった。再発防止に努めたい」としている。

 長崎市消防局は「大学病院には1人では避難が難しい人が大勢いるため、高い危機管理が求められる」と指摘した。

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