サロン「雲仙人(くもせんにん)」結成 雲仙の魅力アップへ 異業種交流

 雲仙市で農業や食品加工、まちおこしなど、さまざまな分野で活躍する人たちが「ネットワークサロン 雲仙人(くもせんにん)」を結成し、異業種交流が進んでいる。定期的に講演会や意見交換会を開催し、業務のノウハウを学んだり課題を相談したりしながら連携を図り、雲仙市の魅力アップにつなげていく。
 市の地域力創造アドバイザーを務める野口智子さん(66)=東京都、ゆとり研究所長=が初めて企画。野口さんは昨年5月から、農家や食品加工業者、まちおこしのイベントを仕掛ける若者などを訪ねて回った。「市内には魅力ある人材が多い。その経験と知識を共有する場を提供したい」とサロン設立を考案。雲仙と掛け合わせ「雲仙人」と命名した。
 22日に同サロンの初会合があり、千々石町の交流施設「えんがわ」には各分野で活躍する30~60代の12人が集まった。吾妻町の省力化機械開発・製造業のイナダ創研代表の稲田信忠さん(49)が講演。稲田さんは機械開発の傍ら、耕作放棄地でオリーブの栽培も手掛ける。実だけでなく葉を使った商品開発に着手し、「オリーブは高齢者にも簡単に育てられる。葉を活用した商品化で収益性を高め、農家の所得向上に貢献したい」と力を込めた。
 参加者は、稲田さんが作ったオリーブオイルや、葉の粉末が入ったお茶、炭酸飲料などを楽しみながら、「1本の木からどれくらい作れるの」「ほかの製品にも生かせそう」など自由に意見交換。国見町の無農薬野菜販売・加工会社「ベジドリーム」代表の小林芳子さん(63)は「大変参考になった。いろんな業種の人と連携していきたい」と話した。
 野口さんは「雲仙市は海、山、温泉、食材と何でもそろった桃源郷。こんな土地の住民は、みんなもう仙人なのよ」と笑う。「雲仙人」たちの笑い声は、予定時間を過ぎても会場外に響いていた。

自由に意見を交わす参加者=雲仙市千々石町

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