WRC:トヨタ、第1戦モンテで3年連続表彰台。15SS中9SSで最速タイム刻み「タイトル獲得へ手ごたえ」

 1月27日に行われた2019年のWRC世界ラリー選手権第1戦モンテカルロ競技最終日。シリーズを戦うTOYOTA GAZOO Racing WRTはオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が総合3位表彰台を獲得し、チームに3年連続の開幕戦表彰台をもたらした。

 WRCのなかでも長い歴史を誇る伝統のラリー・モンテカルロ。その競技最終日はモナコ北側に広がるフランスの山岳地帯にSS13~16までの4SSで争われた。

 この日もモナコ、フランス近郊は晴天に恵まれ、コース上には雪や凍結した箇所もほとんどないドライコンディションとなった。

 競技初日に総合首位につけながらも、翌2日目にパンクした影響で一時は総合7番手まで後退したタナクは、競技3日目に行われた全ステージでトップタイムを刻む走りで順位を挽回。総合5番手で競技最終日に臨んだ。

 波に乗るタナクはSS13~14でも連続トップタイムを奪うと、総合3番手のセバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)、同4番手のヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)を交わして2.8秒差の総合3番手に浮上する。

 タナクは続くSS15ではステージ3位、最終SS16ではステージ4位に入る盤石な走りをみせると、最終的にローブとの差を13秒まで広げてフィニッシュ。トヨタにとって2017年のシリーズ復帰以来3年連続、また自身にとっても2017年のMスポーツ時代から3年連続の開幕戦表彰台を獲得した。

 前日、総合3番手だったローブと2.3秒差につけていたラトバラは競技最終日で思うようにペースを上げられず、総合5位。走行後、「事前テストで見誤り、間違ったセットアップで今回のラリーに臨んだことに気がついた」とコメントしている。

 2019年シーズンからトヨタに加わり、このラリー・モンテカルロがチームとの初戦となったクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)は、昨シーズン途中にシトロエンとの契約を解除されてから、約8カ月ぶりの実戦だったにもかかわらず、タナクやラトバラに匹敵する速さを披露。

 特にステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージのSS16では、ステージ2位に対し3.9秒もの差をつける圧倒的な速さでステージ優勝を奪って、総合6位に食い込むと同時にボーナスポイント5ポイントを獲得した。

 この週末、トヨタ陣営は安全上の理由からキャンセルされたSS3を除く15SS中9SSでステージ優勝を飾っており、マシン、ドライバーともに速さを兼ね備えたパッケージであることをみせつけた。

■チーム首脳陣も開幕戦のパフォーマンスに喜び。「シリーズタイトル獲得に向けた手ごたえを感じる」

オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)
クリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)
ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)

 チーム代表のトミ・マキネンは「すばらしい結末、そして非常にポジティブなリザルトだった」と大会を総括する。

「貴重な選手権ポイントを獲得することができたし、全部で15本走ったSSのうち、9本でベストタイムを記録できたのは、我々のクルマのパフォーマンスを証明するものだ」

「また、我々と一緒に戦った最初のラリーで、クリス(ミーク)が示したパフォーマンスは非常に印象的だった。これからのシーズン、クリスはきっとライバルから警戒される存在になったと思うし、皆が彼に注目し続けるだろう」

 一時は総合7番手まで後退したタナクは「金曜日が終了した時点では、このような良い結果を期待していなかった。比較的ドライなターマックステージで、ここまでタイムを挽回できたことに驚いている」と述べている。

「チーム、グラベルクルー、そしてクルマに心から満足しているよ。土曜日と日曜日は完璧な仕事ができたから、自分たちを誇りに思う」

 現地でチームの戦いを見守ったGAZOO Racing Companyの友山茂樹プレジデントは、「今回のラリー・モンテカルロは、例年同様に刻々と変わる路面状況に加え、昨年にも増して、強力になったライバルたちとの駆け引きに、最後まで厳しい戦いを強いられましたが、3台とも大健闘しラリーを盛り上げることができました。応援していただいたファンの皆様に、心より感謝申し上げます」とのコメントを発表している。

「特に途中パンクに見舞われ大幅なタイムロスをしながらも、15ステージ中7つのステージでトップタイムを刻み、3位表彰台を獲得した(オット)タナク/(マルティン)ヤルヴェオヤ組は、昨年同様、高い戦闘力を示してくれました」

「また、終始、冷静な走りで5位に食い込んだ(ヤリ-マティ)ラトバラ/(ミーカ)アンティラ組、そして、ヤリスWRCでの初ラリーを心から楽しみつつ、パワーステージでは圧倒的な速さをみせつけた(クリス)ミーク/(セブ)マーシャル組の走りからも、今シーズンの活躍が期待できます」

「ヤリスWRCの安定したパフォーマンス、また、最高のチームワークからも、シリーズタイトル獲得に向けた手ごたえを感じることができました」

「TOYOTA GAZOO Racingは、今シーズンも、若き挑戦者として、世界中のWRCファンに興奮と感動をお届けできるものと確信しています。これからも、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamへの応援をよろしくお願いいたします」

 2019年のWRC第2戦は北欧スウェーデンを舞台に2月14~17日に行われるラリー・スウェーデン。今回のモンテカルロとは異なり、路面が雪と氷で覆われるシリーズ唯一のフルスノーイベントで、トヨタが2017年にシリーズ復帰後初優勝を挙げた大会でもある。

オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)
TOYOTA GAZOO Racing WRTチーム代表のトミ・マキネン
GAZOO Racing Companyの友山茂樹プレジデントと握手を交わすオット・タナク(右)

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