鷹が的確、オリもまずまず…“補強”上手はどこ? 昨季12球団補強検証【パ編】

ソフトバンク・グラシアル(左)、ロッテ・ボルシンガー【写真:荒川祐史】

2019年のキャンプインも目前、では昨季の補強が“成功”だったのは?

 2019年に入り、早くも1か月が経とうとしている。1月も終盤に入り、プロ野球界はいよいよキャンプインが目前へと迫ってきた。2019年シーズンに向けて約1か月に及ぶ長く、厳しいキャンプは沖縄、宮崎、そして米アリゾナ州スコッツデールでスタートする。

 キャンプも目前に迫り、各球団の戦力整備もほぼ終了と言えるだろうか。補強も進み、昨季から引き続きチームに残留する者、球団を変えて新天地で新たに再出発を切る者、そして、今年もまた新たに日本の地を踏む助っ人外国人がいる。今季は一体、どの助っ人が活躍するのか。シーズンの行方を占う1つの要素となるだろう。

 補強の成果はシーズンが終わってみないと分からないもの。今オフの12球団の補強の成果は2019年シーズンが終わる10月、11月になってハッキリすることだろう。では、昨季、“補強上手”だったのは、どこの球団だったのか。2019年の球春が到来する前に、今一度、振り返り、A~E評価で診断してみよう(育成から支配下へ昇格した選手は除く)。
 
今回はパ・リーグ6球団を検証する。

◯西武 C
ニール・ワグナー投手
36試合2勝1敗1セーブ9ホールド 4.22
ファビオ・カスティーヨ投手
20試合7勝4敗3セーブ1ホールド 4.48
高木勇人投手(FA人的補償)
8試合1勝2敗0セーブ0ホールド 8.69
榎田大樹投手(トレード)
23試合11勝4敗0セーブ0ホールド 3.32
デュアンテ・ヒース投手(途中)
42試合4勝1敗13セーブ9ホールド 2.50
小川龍也投手(トレード、途中)
15試合1勝0敗0セーブ4ホールド 1.59
カイル・マーティン投手(途中)
22試合2勝1敗1セーブ10ホールド 2.08

 10年ぶりにリーグ制覇を果たした西武。強力な打線で、手薄な投手陣を補い、打ち勝って頂点に立った。補強はというと、ワグナー、カスティーヨの助っ人2人は安定感に欠き、野上の人的補償で獲得した高木勇は1勝止まり。トレードで加入した榎田が2桁勝利をマークしたことは大きな成果となった。シーズン途中に獲得したヒース、マーティン、小川の3人は終盤に大きくチームに貢献し、彼らなくして優勝はなかったと言っても過言ではない。シーズン中の補強の成果を評価して「C」。今オフも投手陣を中心に補強したが、どう成果が出るか。

◯ソフトバンク B
西田哲朗内野手(トレード)
72試合109打数23安打4本塁打16打点 .211
ユリスベル・グラシアル内野手
54試合185打数54安打9本塁打30打点 .292
市川友也捕手(トレード、途中)
25試合42打数7安打2本塁打5打点 .167
アリエル・ミランダ投手(途中)
8試合6勝1敗0セーブ0ホールド 1.89
美間優槻内野手(トレード、途中)
1軍出場なし
松田遼馬投手(トレード、途中)
2試合0勝0敗0セーブ0ホールド 6.00
 
 リーグ2位から2年連続の日本一となったソフトバンク。オフに行われた補強では西田とグラシアルを獲得し、開幕後は故障者の続出で市川やミランダらを獲得した。西田は怪我で戦線を離れた今宮のバックアッパーとしてチームに貢献し、ポストシーズンではラッキーボーイ的な活躍を見せた。グラシアルも同様に不振の松田の代役や、外野の一角などでもプレーして戦力に。ミランダも途中からの加入で6勝をマークした。シーズン中に敢行した補強も身を結び、上々の「B」といったところか。今オフは12球団で唯一の補強なし。チームに留まる助っ人らがどれほどの働きを見せるか。

アルバース、増井が活躍したオリックスも“補強”は上々

◯日本ハム C
マイケル・トンキン投手
53試合4勝4敗12セーブ20ホールド 3.71
実松一成捕手
1試合0打数0安打0本塁打0打点 ―
ブライアン・ロドリゲス投手
9試合3勝2敗0セーブ0ホールド 5.26
オズワルド・アルシア外野手
89試合284打数63安打14本塁打43打点 .222
鶴岡慎也捕手(FA)
101試合239打数58安打2本塁打22打点 .243
ニック・マルティネス投手
25試合10勝11敗0セーブ0ホールド 3.51
藤岡貴裕投手(トレード、途中)
4試合0勝2敗0セーブ0ホールド 6.52

 パ・リーグ3位でクライマックスシリーズに進んだ日本ハム。大谷翔平、増井浩俊らが移籍して戦力ダウンを強いられた中でまずまずのシーズンだったのではないか。マルティネスは結果的には黒星先行となったものの、安定した投球を披露して10勝をマークし、トンキンもリリーフとしてまずまずの働きを見せた。ソフトバンクから復帰した鶴岡も捕手としてだけでなく、代打の切り札としてチームを支えた。アルシアはやや物足りない結果だったが、補強としては及第点だった。今オフは積極補強にうごいており、その成果がどう出るか楽しみな球団である。

◯オリックス B
アンドリュー・アルバース投手
19試合9勝2敗0セーブ0ホールド 3.08
増井浩俊投手(FA)
63試合2勝5敗35セーブ9ホールド 2.49
高城俊人捕手(トレード、途中)
1軍出場なし
白崎浩之内野手(トレード、途中)
30試合67打数16安打1本塁打9打点 .239
ドン・ローチ投手(途中)
11試合2勝3敗0セーブ0ホールド 5.01
岩本輝投手(途中)
17試合1勝2敗0セーブ5ホールド 4.30

 パ・リーグ4位に終わったオリックス。補強したアルバースはシーズン終盤に離脱したものの、2桁目前の9勝をマークし、FAで獲得した増井も35セーブをあげた。2人は期待通りの成績を残したと言える。Bクラスに終わった要因は既存戦力、ロメロ、マレーロ、ディクソンと残留した助っ人の不振によるところが大きかった。途中加入の岩本も中継ぎとして一定の成果を挙げており、こと“補強”に関して言えば、上々の「B」だと言えるのではないか。金子や西、中島が流出した今オフの補強は3選手に留まっているが、果たして。

◯ロッテ D
マイク・ボルシンガー投手
20試合13勝2敗0セーブ0ホールド 3.06
エドガー・オルモス投手
2試合0勝2敗0セーブ0ホールド 7.71
マット・ドミンゲス内野手
37試合84打数16安打7本塁打16打点 .190
タナー・シェッパーズ投手
25試合1勝3敗1セーブ9ホールド 4.54
大隣憲司投手
2試合0勝2敗0セーブ0ホールド 37.80
李杜軒内野手
11試合16打数3安打0本塁打3打点 .188
フランシスコ・ぺゲロ外野手
1軍出場なし

 就任1年目の井口資仁新監督のもとで5位に終わったロッテ。昨季の補強で大きな成果を挙げたのは、13勝をマークしたボルシンガーただ1人だった。助っ人右腕は終盤に戦線を離れたものの、驚異の11連勝を記録するなど大活躍した。だが、その他のオルモス、シェッパーズ、ドミンゲスらは目立った活躍はできず、ファーム暮らしも長かった。ボルシンガーの存在で辛うじて「D」か。今オフは積極的に補強しており、その成果がどう出るか。

◯楽天 E
山下斐紹捕手(トレード)
43試合96打数19安打2本塁打9打点 .198
渡辺直人内野手
69試合96打数20安打2本塁打12打点 .208
オコエ・ディクソン外野手
22試合57打数10安打1本塁打3打点 .175

 開幕から低迷し、最下位に沈んだ昨季の楽天。オフはウィーラーやペゲーロ、アマダーら助っ人の多くが残留したことで、新外国人はディクソンただ1人。ベテランの渡辺と、捕手の山下を獲得したが、成果としては乏しかったか。残留外国人も不振に陥り、シーズン中の補強もなしと、評価は「E」となった。このオフは石井一久GMのもとで積極的に補強に動いており、シーズンが楽しみだ。(Full-Count編集部)

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