プーチン氏、安倍氏との個人関係重視せず

ロ国営テレビ、3週連続で特集

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太田清

共同通信大阪支社統括整理部長

太田清

共同通信大阪支社統括整理部長

共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局、47NEWS編集長などを経て2019年10月より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

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首脳会談前に握手するプーチン大統領(右)と安倍首相=22日、モスクワのクレムリン(共同)

 毎週日曜夜のロシア国営テレビの人気ニュース番組「べスチ・ニェジェーリ」は27日、3週連続で日ロの平和条約締結交渉を特集、看板キャスターのドミトリー・キセリョフ氏は22日の日ロ首脳会談について「会談は3時間行われたが進展はなかった」とした上で「安倍晋三首相とプーチン大統領とのアプローチには違いがある。安倍首相はプーチン氏との個人的関係を通じて領土問題解決を目指しているが、プーチン氏は丁寧な態度ながらも、何より国家の間の関係を発展させるよう提案した」と述べ、プーチン氏が安倍氏との個人的関係をそれほど重視していない現実を指摘した。 

 キセリョフ氏はその理由について「(国家間の関係の方が)より信頼でき、当てになるからだ」と述べた。キセリョフ氏はロシア政府が対外宣伝の強化を目的に新設した国際通信社「今日のロシア」社長に任命されるなど、政権との関係が深く、その発言はクレムリン(ロシア政府)の意向を代弁しているとされている。 

 キセリョフ氏はまた「安倍氏は(首脳会談で)笑顔を浮かべたものの、日本はロシアへの経済制裁を続け、ロシア領の一部を自国領とみなし、国連で反ロシア決議に投票し、国内に米軍駐留を認め、(ロシアが脅威とみなす)地上配備型迎撃システム(イージス・アショア)の配備も計画している」と日本を非難した。 

 ロシア通信によると、ペスコフ・ロシア大統領報道官は国営テレビとのインタビューで同様に、日本の対ロ制裁が平和条約締結の障害となっているとの見方を示した。さらに、日本が反対しているにもかかわらず、プーチン大統領が昨年9月の極東ウラジオストクでの会合で前提条件をつけずに平和条約を締結するよう安倍首相に提案したことを持ち出し、「日本側の理解を得られていない」と指摘した。

 べスチ・ニェジェーリはこのほか、3000人近いロシア人住民が住む色丹島からのルポも伝え、同島では水産加工場や病院、学校などのインフラが整備されている現状を報告、日本への引き渡しに反対する住民の声などを伝えた。 

 キセリョフ氏は20日のべスチ・ニェジェーリでも、ロシアでは「90%の国民が(北方領土を含む)クリール諸島引き渡しに反対している」という「クリール諸島・コンセンサス」があり「プーチン大統領がこれを無視することはありえない」と強調していた。 (共同通信=太田清)