傷んだ空き家の解体費用を助成 神戸市、年間500戸

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壁などが破損し、老朽化した空き家=神戸市内(同市提供)

 老朽化した空き家の解体を進めるため、神戸市は2019年度、市内全域を対象に年間500戸の解体費用を補助する方針を固めた。住宅密集地などエリアを絞らずに補助するのは全国でも例が少なく、対象戸数も最大規模という。古い住宅は傷みの進行が早く、災害時は周囲への悪影響も懸念される。所有者の負担を軽くすることで危険な状態になる前の決断を促す。

 国の13年の住宅・土地統計調査によると、市内の空き家は10万8千戸と推計される。そのうち将来的な利用予定がなく、屋根や壁がはがれ落ちるなど何らかの破損があるのは9500戸で、現在はさらに増えているとみられる。古い住宅は、親世代の死去などで相続しても解体費用がネックとなって放置されることがあるという。

 補助の対象となるのは1981年以前の旧耐震基準で建てられた市内の住宅で、屋根や外壁の一部がはがれるなどの傷みがあり、所有者が将来的に住む予定がないことが条件。住み替えを検討しているが、道路に面していないなどで売却が難しい物件も含む。所有者の申請を受けて市が審査し、補助額は1戸あたり上限50万円程度を想定。市によると、一般的な木造住宅の解体費用は100~150万円という。

 空き家対策を巡り、神戸市は16年度、周辺に悪影響を及ぼす空き家の所有者に指導、勧告し、勧告に従わない所有者の名前や住所を公表できる条例を定めた。住民からの通報などで把握した空き家から順に指導しているが、通報は年々増え、18年12月までに寄せられたのは1270戸。454戸が改善につながったが、指導が追いついていない状態という。

 勧告まで至った場合や同市灘区北西部など密集市街地では解体費を補助しているが、活用されたのは年間40件に満たない。市は補助する対象を10倍以上に広げて改善を加速させる。担当者は「建物があるままでは売れなくても、取り除いてさら地になれば流通にもつながる」としている。(若林幹夫)