「開門で湾内環境改善」 諫干即時開門訴訟 原告側証人が主張

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査を巡り、諫早市小長井町や雲仙市瑞穂、国見両町の漁業者が国に即時開門を求めた訴訟の証人尋問が28日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であった。原告側証人として識者2人が尋問に立ち、閉め切り後にアオコが発生していることや、漁業被害が起きていることを挙げ「開門すれば湾内の環境が元に戻る」などと主張した。
 熊本県立大の堤裕昭教授は新しい調査データを示しながら、湾の閉め切り後、有明海の潮の流れに変化が生じ、赤潮が発生しやすい環境になっていると説明。諫早湾内では潮流が遅くなっていることで、海中の酸素濃度が極端に下がり、貝やエビなど海底生物が取れず「まともな漁業ができる状態ではない」と指摘した。
 熊本保健科学大の高橋徹教授は、調整池で発生し、肝障害を起こす毒素を持つ種もあるアオコを問題視。調整池から諫早湾に排水された後、付近の貝などに蓄積し、食物連鎖によって人間に影響を及ぼす恐れを挙げた。その上で「調整池に海水を入れるとアオコは発生しない」と、開門の必要性を強調した。

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