東京・浅草で最後の特別企画「南部さしこ展」

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「マエダレ」と呼ばれる鮮やかな前掛けや「タッツケ」がつるして展示されている会場=東京・浅草

 3月末で閉館する東京・浅草の「アミューズミュージアム」で29日、最後の特別企画展「南部さしこ展」が始まった。旧川内町(現青森県むつ市)出身の民俗学者・田中忠三郎さん(1933~2013年)が県内の農村などで収集し、国の重要有形民俗文化財に指定されている刺し子786点の中から、南部地方の「菱(ひし)刺し」67点を展示している。

 会場では「マエダレ」と呼ばれる前掛けや「タッツケ」という女性用のもも引きを天井からつるして見せている。いずれも大正から昭和初期にかけ、農村の女性たちの手で刺されたものだという。

 マエダレは、当時普及し始めた毛糸を細く裂き、糸として使っているため、赤や黄色、青、紫など色とりどりの模様が目を引く。大半は祭りなどの晴れ着用として大切に保管されていたため傷みが少なく、女性たちの思いが込められた鮮やかな模様が今も楽しめる。

 訪れた人は「色がカラフルでかわいらしい。現代の作品かと思った」などと感嘆しながら見入っていた。

 同館は大手芸能事務所アミューズによって2009年に開館。青森市出身の大里洋吉アミューズ会長が田中さんと出会ったのをきっかけに、「ボロ」と呼ばれる民衆の衣類、民具など田中さんのコレクションを中心に展示してきた。

 同館運営部の梶友子さんは「ガラスケースに入れず、間近で見られる展示手法はこの館ならでは。女性たちの手仕事の素晴らしさを感じていただきたい」と話した。

 特別企画展は3月31日まで(毎週月曜休館。2月11日は開館、翌12日休館)。