2019年最注目の選挙、EU議会選挙とは何か?

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2019年には日本では参議院選挙と統一地方選挙があり選挙イヤーとも言えます。一方、世界でも選挙は行われます。今回はその中でも特に重要な選挙としてEU議会選挙を紹介したいと思います。

EU議会とは何か

ヨーロッパの国々の多くは現在欧州連合(EU)に加盟しています。EUは独自に法律を制定し加盟国に対して影響力を及ぼすなど国家的な役割を果たしています。行政の役割を果たす欧州委員会、議会の役割を果たす欧州議会や欧州連合理事会などから構成されます。
その中で、欧州議会は立法機能をもっていますが、欧州連合理事会という別の機関とその権限を分け合う形となっています。また、欧州議会は独自の法案提出権を持ちません。そのため、日本の国会などと比べると限定的な権限しか有していません。一方で、民主的に実施される選挙としては、インドについで世界二番目に多い有権者によって実施されるほか、国境を超えた選挙としては世界最大規模になっています。そのため、大きな注目を集めているのです。

ブレグジットの足掛かりとしての歴史

とはいえ、これまでは大きくは注目されませんでした。その最大の理由はすでに指摘したように権限が限定的であり、欧州議会が他の機関と目立った対立を起こすことが無かったからです。しかし、近年は注目を集めています。というのも、小政党が議席を有しやすい比例代表制を採用しているために、各国の選挙では影響力を行使できない勢力が欧州議会で議席を獲得して知名度や国内での影響力を高めることができるのです。
この最大の例が、イギリスのEU離脱に大きな役割を果たした英国独立党(UKIP)でした。イギリス下院は大政党に有利な小選挙区制を採用しているために、小政党に過ぎなかったUKIPはほとんど議席を獲得できず、イギリス国内で影響力を与えることは限定的でした。しかし、UKIPは小政党に有利な比例代表制を採用する欧州議会で地道に影響力や知名度を伸ばし続けました。その結果、2009年選挙では、イギリス国内の得票率において当時の与党労働党を抑えて2位に躍進したのです。そして、もともと議員にEU懐疑派を多く含み支持基盤をUKIPと争う与党保守党がUKIPのEU離脱の主張を無視できなくなるようになり、国民投票へと向かっていったのです。
しかし、今回の選挙ではEU離脱に向けた手続きを進めているイギリスはEU議会選挙に参加して議員を輩出することはできません。そのため、皮肉なことに、反EU派は現状では欧州議会において大きく勢力を後退させているのです。

今回の選挙の争点 反EU派が躍進するか

そして、今年5月に行われる選挙では、反EU派が躍進するかが大きな争点となっています。この選挙では、時に国内では連立を組む政党も対決することもあります。その好例がイタリアの与党「同盟」です。イタリアでは選挙で勢力が伯仲した結果、主要政策で対立する親EU的な政党「五つ星運動」と連立政権を組みました。しかし、EU議会選挙では、同盟は、同じ反EUの主張を共有する、各国の右派勢力との連携を進めようとしています。これまでEU議会が大きな注目を集めてこなかったのは、親EUの政党が過半数を維持してきたため独自の役割を果たさなかったことが挙げられます。また、右派政党の中でも反EUの温度差はあり、反EUでまとまるには議論が不十分と言うこともありました。仮に、選挙で反EU勢力がEU議会与党による過半数を脅かすことになった場合、EU立法の停滞を通じて世界に混乱を引き起こすことが懸念されているのです。

このように、今年は欧州議会という波乱を起こしうる選挙が待っています。これからも注目していきましょう。